サフランモドキ
 料理をする時に、いろいろな香辛料があればいろいろな味が楽しめるだろうなということをたまには思ったりする。私の台所にはしかし、”さしすせそ”以外にはコショウ、唐辛子、和辛子、ワサビ、ポン酢などごくありふれたものしかない。
 私の畑にはシソ、バジルがあり、これらは香辛料というより、そのまま生で野菜として利用している。以前は隣人がウコンを植えていたが、今は無い。そのウコン、英名をターメリックといい、カレーに用いられる香辛料で、黄色の色素を持っている。
 黄色の香辛料といえばもう一つ、サフランが思い浮かぶ。南フランスのブイヤベースやスペインのパエリアなどの料理を思い出す。日本料理や沖縄料理が好きな私は西洋料理が嫌いというわけでは無いが、高級なレストランには縁が無かったので、これまでの人生でブイヤベースもパエリアも口にしたことは無い。で、サフランの風味を知らない。
 私の畑の傍、隣の敷地にきれいな花が咲いているのを、先日見つけた。写真を撮って調べると、サフランモドキとあった。「おっ、サフランってか。モドキといってもサフランに近いのであれば、サフランの風味があるのか?」と期待して、さらに詳しく調べたら、サフランモドキはサフランとはまったく縁遠い植物であった。
 写真で見るサフランとサフランモドキ、さほど似ているようには思えない。サフランモドキの花の形はどちらかというとタマスダレに近い。それもそのはず、サフランモドキとタマスダレは同じ科の同じ属の植物。ピンク色のタマスダレと言った方が近い。

 サフランモドキ(洎夫藍擬き):花壇
 ヒガンバナ科の多年草 中央アメリカ原産 方言名:ジクジクー
 サフランは香辛料に用いられるサフランのこと。そのサフランに似ているのでこの名があるらしいが、写真を見比べると、確かに大雑把に見れば似ていると言えなくも無い。が、この程度でモドキといわれたら、この世にモドキの付く名前は溢れてしまうだろう。サフランは南ヨーロッパ原産のアヤメ科の多年草で、淡い紫色の花を秋に咲かせる。本種はヒガンバナ科で、花色は淡い紫色もあるが、淡い紅色が多い。開花期は夏。
 サフランはsaffraanと書き、オランダ語。元々はサフランから取れる香辛料や薬を指しての名前らしいが、それがそのまま植物名にもなった。漢字の洎夫藍はたぶん音から。

 花1

 花2
 記:島乃ガジ丸 2005.9.15  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
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