オシロイバナ
 禁酒法なんていう法律が85年ほど前のアメリカにあったが、死んでも酒が飲みたいという欲求を持つ人間があまたいたようで、密造酒が蔓延り、結果的にはギャングの犯罪を助長し、金稼ぎの源になるという悪法となった。法律は13年後に廃止された。
 酒が無ければ人生楽しくない、と思う男は多かろう。そんな男どもにとっては、禁酒法なんて、あってはならない法律なのである。酒無くして何の人生なのである。

 酒が無ければ人生楽しくない、と思う女は、男に比べるとだいぶ少ないに違いない。女にとっては禁酒法より禁粧法(化粧品を作ることを禁じ、化粧することを一切禁止する法律)の方がきついかもしれない。スッピンで外に出て、人に会う。特にイイ男のいる前に出るなんてことは死んでも嫌、と思っている女はあまたいるに違いない。
 一、二、三で一斉に化粧を禁止する。そして、世の女性の全てがスッピンのまま日常の生活を送る。皆がスッピンだから平等であり、スッピンも恥ずかしくない。そうなれば、化粧品にかかる金が節約でき、化粧にかかる時間も節約できて、世の中のためになると思うが、・・・まあ、それは無理というものであろう。化粧したいという欲求は女(に限らず、ある種の男にも)にとって、酒が飲みたいという男の欲求をはるかに上回る強さがあるに違いない。すると、やはり、密造化粧品が蔓延るということになる。

 密造化粧品は値段が高い。貧乏な人々は、その辺りにある自然の化粧品を使うようになる。どこにでも生えて雑草扱いされることもあるオシロイバナが、そうなると俄然人気者になる。昔から白粉(おしろい)に用いられていて、その名もついているのだ。外ではスッピンで過ごし、家に帰ってから、オシロイバナの白粉で密かに化粧を楽しむ人々が増えることであろう。夜、あちこちの家の中で、オシロイバナパーティーが開かれる。

 オシロイバナ(白粉花):花壇
 オシロイバナ科の多年草 原産分布は熱帯アメリカ 方言名:ユサンディバナ
 高さは80センチから1メートルにまでなる、繁殖力の強い草花。花壇用の草花として栽培されていたものが野生化して、雑草のように扱われたりする。花は一日花、夕方から朝方にかけて開く。そのことから別名としてユウゲショウ(夕化粧)という名がある。形は漏斗状、色は黄・紅・白など。品種によっては微香がある。夏から秋にかけて咲く。
 広辞苑によると「果実は黒く熟し、中の白粉状の胚乳をおしろいの代用にした。」とある。で、名前がオシロイバナ、またはオシロイグサ。

 花

 黄花
 記:島乃ガジ丸 2005.9.12  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
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