オオキバナカタバミ
 去年の1月なのでほぼ1年前のこと、南城市の小さな部落を歩いていると、黄色い帽子をかぶった少年が一人でポツンと立っていた。迷子かと思って、
 「どうしたんだ?お父さんお母さんは一緒じゃないのか?」
 少年は黙って首を横に振る。辺りを見ると、すぐ傍の建物が保育園だ。そこの園児かもしれないが、しかし、保育園には誰もいない。
 「友達や先生も一緒じゃないのか?」
 「みんな、どっかへ行った。」
 「君一人、残されたのか?」
 「置き去りっす。」

 カタバミの類、カタバミ、ムラサキカタバミ、アカカタバミなどは畑のやっかいものとなっているが、カタバミの類、属名のオキザリスという名前で、草花として園芸店で売られているものもある。私の散歩道にある民家の花壇などでは花色が純白のもの、葉が大きく赤紫をしたもの(どちらもまだ調べていないので名称不明)などがある。今回紹介するオオキバナカタバミも花壇草花として扱われるものの一つ。
 私の家の近辺ではなく、南城市の小さな部落の、保育園の庭で見つけた。なお、その黄色い花は群生していて、一人ぼっちで置き去りにされていたわけではない。

 オオキバナカタバミ(大黄花片喰):花壇
 カタバミ科の多年草 南アフリカ原産 方言名:なし
 取っても取ってもきりがない畑の腹立つ雑草カタバミの仲間。他のカタバミに比べ草丈が大きく、花色が黄色いことからオオキバナカタバミ(大黄花片喰)という名。
 ごく小さいながらも畑をやっている私にとっては、カタバミは憎き奴。畑にカタバミの仲間は、カタバミ、ムラサキカタバミ、アカカタバミがあり、中でもムラサキカタバミは除去しにくいので頭痛の種となっている。種では無く、塊根が鬱陶しい。
 本種もまた塊根を持つようで、文献には「畑の害草となっているムラサキカタバミと同様の繁殖方法。植える際には注意が必要。」とあった。だが、本種があちこちに蔓延っているのを私は見たことが無い。沖縄の気候が本種にとってピッタシ合うものではないのかもしれない。よって、他のカタバミよりは繁殖力が弱いのかもしれない。
 茎が地中を這って広がり、一面を覆うように葉が茂る。葉は他のカタバミ同様、三出複葉。長い葉柄が地面から多数伸びて、その先に花が数個ずつ付く。花は明るい黄色。開花期、文献の写真は6月、私の写真は1月、沖縄では長い期間咲いているようだ。

 花
 記:島乃ガジ丸 2009.2.8  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
inserted by FC2 system