ヌカボシクリハラン
 元美人妻のIさんは料理屋を営んで自ら料理をする。彼女の料理は主に和食。漬物も自ら漬ける。彼女の漬物は主に2種、和風の糠漬けと洋風のピクルス。彼女のピクルスは酸味が柔らかくて美味しい。だが、私は彼女の糠漬けの方をより好んでいる。日本酒の好きな私は、その肴に漬物を好むが、中でも糠漬けは若い頃から大好きだった。
 日本酒の肴に、私は干物も大いに好む。アジ、サバなどをよく食べ、時にはカマスやイカなども食う。沖縄産干物が無い(私は見たことが無い)のを残念に思っている。
 数年前から貧乏になってしまい、口にする機会は減ったのだが、秋になると日本酒が飲みたくなり、漬物や干物を数年前まではよく買っていた。
 秋と言えば、果物の栗も私は好きである。主にスーパーに置いてあるレトルトパックされたむき栗を買って食べている。温かいぜんざいの中に入れて食するのも好きだ。

 私の好物である食物が3つも入っている名前を持ったシダ植物があった。ヌカボシクリハラン。その名前を見た時「何だか美味そうな名前」と感じたのはそのせいであった。ところが、最後のハラン、これを波乱と捉えると、私の好まない人生となる。私は穏やかで静かな人生を好んでいる。淡々と畑を耕している人生でありたい。

 ヌカボシクリハラン(糠星栗葉蘭):壁面装飾
 ウラボシ科の多年生常緑シダ 方言名:不詳
 名前の由来、クリハランが広辞苑にあり、栗葉蘭という漢字表記で本種と同じくウラボシ科の常緑シダ。「クリの葉に似た長さ15センチメートル内外の葉を生ずる」ことからクリハ(栗葉)、ラン(蘭)はラン科植物の総称だが、スズランやクンシランのように別の科でもランと似ている、または生息地が似ている場合などには用いられる。
 ヌカボシ(糠星)も広辞苑にある。「晴夜の大空に見える多くの小さい星」のことで、「糠のようにこまかく見えるからいう」と語源もあった。本種の胞子嚢群は円形で葉の下面に散らばている。それを糠星に喩えたものと思われる。
 森林の陰地となる場所に生えるシダ。根茎は地上や岩上、樹木の幹に長く這い、貼り付くようにして群生する。葉は革質で、縁は緩やかに波打つ。
 記:島乃ガジ丸 2013.10.25  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
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 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
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 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
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