ナリヤラン
 去年(2011年)の夏、埼玉在の友人Rと八重山与那国の旅へ出かけた。禿げたオッサンとヨーガリテ(痩せて)貧相なオッサンの二人旅、周りから見れば哀れにも感じるかもしれない旅、でも、本人たちは大いに楽しんだ。
 西表島ではトレッキングに挑戦した。挑戦といっても山道を延々と歩くわけでは無い。現地のツアー会社が企画している西表島トレッキングの2時間ばかりのコース。ちょっと長めの散歩、程良い運動となって後のビールが旨いといった程度のもの。
 そのトレッキングコースの参加者は我々オッサン二人だけだった。案内人も同じくオッサン(我々よりはたぶん若い)で、オッサン3人で西表の川沿い、山の中を歩いた。
 「今がちょうど花の時期ですから見に行きましょう」と案内人が言う。日本では石垣島と西表島にしか自生が無いというナリヤランという蘭が「たぶん、そこへ行けばナリヤランの群生が見られると思います」と、コースでは無い場所へ案内してくれた。
 ナリヤラン、私はその名も初耳で、もちろん姿も見たことは無かった。「きれいな蘭で盗掘されやすいものですから、自生場所をあんまり公にはしたくないんですよ」、どうやら我々2人は盗掘するような人間では無いと判断されたらしい。正しい判断をされて嬉しいこったと思いつつ、「きれい也や」からナリヤなのかなぁなどと考えていた。

 ナリヤラン(成屋蘭):花壇・鉢物
 ラン科の多年草 東南アジアに広く分布、西表島が北限 方言名:不詳
 名前の由来、『沖縄大百科事典』に「和名は西表島の内離島成屋に由来」とあった。成屋とは西表島の内湾にある小島、内離島にあった成屋村のことで、同書によると、明治の頃は炭鉱村として繁栄したが1920年に廃村となっている。
 草丈が50〜130センチほどになる大型の地生ランで、チガヤなどに囲まれていてもよく目立つ。日当たりの良い草地などに生え、たいてい群落を成している。
 茎の頂部から10〜15センチの花茎を出し、5〜8個の花を次々と咲かせる。花弁は薄桃色で、唇弁は紅紫色。花はカトレアに似るが数日でしぼむ。開花期は夏。

 花
 記:島乃ガジ丸 2012.3.7  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
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