ナンバンギセル
 また一つ植物用語を知った。寄生植物という。広辞苑を見ると、「他の生物から栄養を取る植物の総称」とあった。また、「ナンバンギセルなど葉緑素を欠き・・・云々」とあるように、ナンバンギセルはその代表格であるらしい。

 宇宙のどこかに、人間に寄生する植物もあるにちがいない。昔、そんな内容のSF小説を読んだ覚えもあるが、私の想像する寄生植物は以下の通り、
 名前を決めておこう。細胞という意味のセル(cell)に、人類が別種の生物に変わるということから「転換期」と頭につけて、テンカンキセルとしておこう。宇宙のある星へ実験用に連れて行ったマウスが、テンカンキセルの最初の寄主となる。
 テンカンキセルはホウセンカのように種を弾き飛ばして繁殖する。テンカンキセルの種は砂粒のように小さい上、その弾き飛ぶ速さは鉄砲の弾ほどの速さがある。だから、動物の体の中にもたやすく入り込める。入った時は、針にちくっと刺されたほどの、ほんの一瞬の痛みなのであまり気にならない。マウスも気付かなかったようである。
 地球に戻ったマウスから植物が生えだした。関係者は驚き、観察を続ける。やがて花が咲き、実が成り、そして、多くの人が見守る中、その種が弾き飛ばされた。目には見えなかった。皆、針に刺されたような一瞬の痛みは感じたが、誰も気にしなかった。テンカンキセルは多くの人間に寄生し、そして、数年後には世界に広がった。

 その後の人類がどうなったかは、それぞれの想像にまかせるとして、ここではナンバンギセルのこと。下にも書いたが、南蛮煙管とはマドロスパイプのこと。マドロスはオランダ語で船乗りのこと。船乗りがよく使うパイプだからそういうが、和製語とのこと。ポパイが咥えているパイプ、と言えば、中年以上の方はお解かりでしょう。

 ナンバンギセル(南蛮煙管):観賞用鉢物
 ハマウツボ科の一年生寄生植物 北海道以南、南西諸島、他に分布 方言名:不詳
 南蛮煙管とは「南蛮人が持ち込んだマドロスパイプのこと」と『名前といわれ野の草花図鑑』にあった。花のついた草の形がそれに似ているということ。納得。
 寄生植物という名前も私には珍しく、そういうものあるということ何となく知ってはいたが、これがそれであったかと、今回はまた一つ知識を得た。ナンバンギセルは葉緑素を持っていないため、他の植物に寄生する必要があるとのこと。宿主はススキやミョウガなど。沖縄ではサトウキビに寄生することもあるらしい。
 高さ15センチほど、花茎の先に淡紫紅色の花をつけ、横向きに開く。開花期は、本土では8月から10月とのことだが、私が見たのは11月、文献の写真も11月。
 記:島乃ガジ丸 2006.8.1  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
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