モヨウビユ |
「名前は知っているが実物を知らない」ものがいくつかある。2、3週間前に紹介したオケラがそれであった。名曲『手の平を太陽に』で「ミミズだーてっ、オケラだーてっ」と歌われているあのオケラ、子供の頃から名前だけはよく知っているオケラ。その実物を私は今年(2011年)になって初めて目にした。 世に有名なAKB48というのも名前は知っているが実物を知らない。女子高生の格好をしたたくさんの少女たちという認識しかない。そんなことはさておき、 モヨウビユという名前はずっと前、おそらく20年ほど前から知っている。まあまあ有名な植物らしく、私が参考にしている図鑑のいくつかにも載っている。図鑑の写真を何度も見ているし、おそらく公園などに植栽されているのも何度か見ているかもしれない。見ているけれど「あっ、モヨウビユだ」と認識したことは無い。私にとってモヨウビユは、何ら特長の無い草としか感じていないからだと思う。 今年、沖縄島北部にある海洋博公園を散策した折、「あっ、モヨウビユだ」と認識し、写真を撮った。もちろん、その姿を見てそう認識したのではない。海洋博公園はさすが国立で、親切なのだ。「モヨウビユ」と名札があった。 モヨウビユ(模様莧):花壇・グランドカバー ヒユ科の常緑多年草 ブラジル原産 方言名:不詳 名前の由来についての資料が無く、正確なところは不明だが、葉に模様のあるヒユ科の植物ということで、モヨウビユという名であると思われる。で、その名の通り、葉の色彩が多彩で、それが本種の特徴であり、鑑賞対象となっている。 別名にテランセラとアキランサスとがあるが、テランセラは旧学名のTernantheraからおそらく来ている。アキランサスは誤称とのこと。 草丈、広辞苑に10センチとあり、参考文献には50センチとあった。私の経験では10~30センチ。品種によっていろいろあるものと思われる。 細かい白い花が葉腋に多く付くが、あまり目立たない。開花期は秋。観賞価値のあるのは葉で、緑に黄や赤などの混じったまだら模様となっている。 排水の良い、日の当たる場所で生育が良い。混み入ったら株分する。花壇や園路の縁取りに使い良い。晩秋の10~11月頃になると葉色がいっそう鮮やかになる。 ちなみに現学名は、Alternanthera ficoideaとなっている。 |
記:島乃ガジ丸 2011.11.17 ガジ丸ホーム 沖縄の草木 |
参考文献 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行 |