モロコシソウ
 今年6月から薬草の勉強をしている。で、薬草の図鑑をよく見るようになった。図鑑の写真を見て「あれ、これは見たことあるぞ、写真も撮っているぞ」と気付くものがいくつかあった。エビスグサ、ヘンルーダ、そして今回紹介するモロコシソウなど。

 モロコシソウという名前を見て、トウモロコシのような草と当然想像する。見た目はちっとも似ていないが、果実がトウモロコシの味がするのかと想像し、何だか楽しくなる。であったが、図鑑の説明文を読むとそうではなかった。
 モロコシは唐黍と書いてトウモロコシのことも言うが、唐土と書いて中国の古称でもあった。「中国渡来の植物なんだ」と判断する。しかし、これも間違っていた。

 モロコシという名前の由来については、下記に詳述するとして、モロコシソウは蚊除けになるとのこと。などということを調べている時、偶然にもブログ相互読者のコスモスさんからモロコシソウについての問い合わせがあった。貴重な植物らしい。
 コスモスさんからのメールがあった翌日、早速モロコシソウの確認に行く。以前にモロコシソウを見つけ写真を撮った末吉公園の森の中、水辺の場所へ行った。が、モロコシソウは消えていた。末吉公園のその辺りはモロコシソウの好む環境らしいので、他の箇所を探せば見つかったかもしれないが、散策は既に30分近く経っており、木陰を選んで歩いていたけど、私はもう汗びっしょりになっていた。暑いだけなら何とか耐えられるが、水辺なのでハブの危険がある。腰痛の今、ハブから逃げる自信は皆無。というわけで、モロコシソウ探索は断念。「蒸して乾燥させ蚊遣り」にする実験も断念。 
 モロコシソウ(唐土草):野草・薬用
 サクラソウ科の多年草 関東南部〜南西諸島、台湾に分布 方言名:ヤマクニブー
 名前の由来、漢字表記の唐土は大辞林にあった。しかし、本種は日本に自生していて中国からの渡来ではないようなので、それが何で唐土としているのか疑問を持ったが、『沖縄植物野外観察図鑑に』に「唐土草の名は、この植物が支那渡来してきたものと誤認され名づけられたいわれています」とあった。
 方言名のヤマクニブーは解り易い。『沖縄四季の花木』に「蒸すと九年母のように良い香りを出すことからヤマクニブーという方言名」とあった。なお、和語での別名にもヤマクネンボとある。蒸さずとも、乾くと全体に芳香があるとのこと。
 同書に「蒸して乾燥させたものを部屋に吊るして蚊遣りにしたり、タンスの中に入れて虫除けに使われる」、「全草を煎じた汁は虫刺されにも使用される」とあった。
 石灰岩地の林内や川辺に生育する。高さ20〜70センチになる。花は葉腋に1個ずつ着け下向きに咲く。花冠は鐘形で黄色、径10〜12ミリ。開花期は夏。さく果は径6ミリ程の球形で、先に花柱が長く残る。灰白色に熟す。 
 花と果実
 
 海洋博のモロコシソウ
 記:島乃ガジ丸 2018.7.27  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行
 『グリーン・ライブラリー』タイムライフブックス発行
 『つる植物』沖縄都市環境研究会著 (有)沖縄出版発行
 『熱帯アジアの花』ウィリアム・ウォーレン著、チャールズ・イー・タトル出版発行 
 『沖縄の薬草百科』多和田真淳・大田文子著、那覇出版社発行
 
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