クマタケラン |
2008年の8月、今から約4年前にタチバナゲットウを紹介している。その記事の中に、「今年5月・・・前方数m先のマンションの門前に、実物は見たこと無いが、図鑑では見ていてその姿を記憶している植物があることに気付いた。タチバナゲットウ、写真を撮る。」と書いてある。その「図鑑」とは『沖縄の都市緑化植物図鑑』。 何故「実物は見たこと無」く図鑑で見ていただけなのに、それがタチバナゲットウと名前が判ったのかについては記憶がある。2008年5月より少し前のある日、 「花が垂れないゲットウもあるんだよ、タチバナゲットウっていうんだ」と従姉の亭主に威張られたのだ。ガジ丸HPで沖縄の植物を紹介し始めてその時既に4年近くが過ぎていた。その辺のオッサンよりは植物の事を知っていると私が威張っていた時だ。中途半端に知識を持っているとその知識をひけらかして威張りたくなるようだ。その威張っている天狗鼻を従姉の亭主は「ちょっとへし折ってやろう」と思ったのかもしれない。天狗鼻をちょっとへし折られて、反省して、で、タチバナゲットウの名が頭に記憶された。 それからしばらく経って、別の図鑑を見ている時にクマタケランが目についた。クマタケランはゲットウやタチバナゲットウと同科同属でよく似ている。クマタケランは花穂が直立するのでタチバナゲットウとはよーーーく似ている。私には違いが判らない。 図鑑の写真を見比べても違いが全く判らない。ただ、図鑑には学名が載っていて、それによると両者は違う学名が付いている。なので、異なる種であると判断される。 タチバナゲットウ Alpinia latilabris Ridley クマタケラン Alpinia formosana 今年(2012年)5月、ヤンバル(沖縄島中北部の通称)で花穂が直立しているゲットウによく似た植物を見つけ、写真を撮った。家に帰って調べ直した。撮った写真を見比べて、図鑑の写真も見比べて、それでもやはり違いが判らない。 ただ、タチバナゲットウは栽培品種、クマタケランは野生種ということなので、那覇市の街中のマンションの庭にあるのは栽培品種、ヤンバルの山中にあるのは野生種であると判断した。いいのかそんなテキトーで、と思わぬでも無いが・・・。 クマタケラン(熊竹蘭):花壇・器 ショウガ科の多年草 四国以南、沖縄、他に分布 方言名:ヤマゴートゥ(久米島) 名前の由来は資料が無く不明。漢字は推量によるもの。クマタケランは山地に生える。山地と言えば熊が出てきて、竹林があり、蘭も生えている。大型多年草なので熊のような丈があるという意味で熊丈、山林の縁(隅)に竹のようににょきにょき生えていることから隅竹なども思いついたが、ネットのいくつかのサイトで熊竹蘭とあった。 山地の林縁で、やや湿り気のあるところに多く見られる。全体も花も葉もゲットウによく似るが、ゲットウより大型で高さは2m程。ゲットウと同じく株立ち状に生える。 ゲットウと同じように円錐花序を出すが、ゲットウが垂れ下がるのに対し、本種は上を向く。長さ20センチほどの花序に多くの花をつける。 花はゲットウに似る。白色で、唇弁に黄色と紅色の条が入る。開花期はゲットウと同じ頃、5月から6月。ゲットウのような芳香は無い。果実は熟すと赤色になる。 花に芳香は無いが、葉にはあり、ゲットウと同じく葉は餅を包むのに利用される。 学名、クマタケランAlpinia formosana ゲットウAlpinia zerumbet アオノクマタケランAlpinia speciosa 花 |
記:島乃ガジ丸 2012.6.23 ガジ丸ホーム 沖縄の草木 |
参考文献 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行 |