コシダ
 「毎日朝早くから畑仕事しているよ。」
 「何時間くらい働いているの?」
 「夏場は午前中で引き上げるけど、今は涼しいから夕方まで約10時間。」
 「10時間もか、機械使わずに手作業って聞いてるけど?」
 「あー、手作業。鎌で草を刈り、鍬で耕している。」
 「そりゃあ大変だなぁ。体持つ?」
 「うーん、なんとかやっているけど、昨日から具合が悪くなった。」
 「どこか痛めたのか?」
 「腰だ。」

 という意味のコシダでは無く、植物のコシダを今回は紹介。コシダは小羊歯と漢字で書き、小さなシダという意味。ただ、小さいと言ってもコシダより小さなシダは他にもいくつかある。なので「小さなシダ」には違和感がある。コシダは私が知っているシダの中では中間位だ。よって、私の感覚ではコシダで無くチュウシダとなる。

 「腰が痛いと畑仕事もできないだろう?」
 「うん、確かにきついな。で、今日の畑仕事は3時で中止だ。」

 コシダ(小羊歯・小歯朶):鉢物・編組材・活花
 ウラジロ科の常緑シダ 東北地方南部〜南西諸島、他に分布 方言名:ワラビヌフニ
 名前の由来は資料が無く不明だが、広辞苑に小羊歯と漢字が充てられていて、「小型のシダだから」と想像はつく。シダの中では比較的小型ということであろう。
 比較的小型と言っても1mほどの高さになり、イノモトソウ、タマシダ、オキナワウラボシ、ホウライシダなどに比べると大きい。逆にヒリュウシダ、ホウビカンジュ、リュウビンタイなどと比較すればずっと小さい。オオタニワタリより少し大きい位。
 方言名のワラビヌフニ、食用で有名なワラビ(蕨)と似ているとは言えないのでこのワラビは童だと思われる。沖縄語で童はワラビ、フニは骨のこと。葉は羽状で葉柄から小葉が左右に整列している。背骨から肋骨が並んでいるように見える。
 方言名はワラビヌフニの他、ワラビー、ウナラビなどとも呼ばれ、生活に関わりの深いシダであるようだ。葉柄は強く光沢があり篭などを編む材として用いられるとのこと。葉も光沢がありきれいなので生け花の材料として使われるとのこと。
 酸性土壌を好むようなので、沖縄島北部に多く自生している。私も大宜味村の藪の中で見つけた。アルカリ土壌の沖縄島南部では見たことが無い。たいてい群生するようで、大宜味村の藪の中のそれも四畳半ほどの広さにびっしりと群れていた。
 記:島乃ガジ丸 2012.11.8  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
inserted by FC2 system