コモチマンネングサ
 マンネングサを広辞苑で引くと、オノマンネングサ。イチゲソウ。タカノツメ。などが例として挙げられている。そのどれも私は知らない。オノマンネングサやイチゲソウについては見た(図鑑でも)ことも聞いたことも無い。タカノツメについては聞いたことはあるが、「そりゃあアンタ、唐辛子のことだろう?」という認識でしか無い。
 先週紹介したメキシコマンネングサも、一ヶ月ほど前に紹介したハママンネングサも、それらの写真を撮って、図鑑で調べて何者か判明するまでは全く知らない植物であった。ただ、マンネングサと名のつくものでコモチマンネングサは何年も前から知っていた。「何年も前」と言っても時の流れを早く感じるようになったオジサンにとってはついこのあいだ、6年前の2006年のこと。その年の春、四国の旅の際に出会った。
 写真の日付からその日の日記を調べると、その日その時間、私は愛媛の宇和島にいた。宇和島のどこ?までは書いていないが、夕暮れの宇和島で黄色い花に出会った。

 コモチマンネングサ(子持万年草):鉢物
 ベンケイソウ科の二年草 本州〜南西諸島、朝鮮などに分布 方言名:なし
 名前の由来、マンネングサは広辞苑に万年草と字が充てられており、生命力が強いところからきていると思われる。コモチは「子持ち」で、むかご(零余子)を持つからだと思われる。むかご(零余子)は「珠芽と同義」(広辞苑)とあり、珠芽(しゅが)は「腋芽の変形したもので、ふつう小さな球塊となり、養分を貯蔵し、たやすく植物母体から離れて、無性的に新個体を生じるもの」(〃)のこと。解りやすく言うと、雄しべ、雌しべ、受粉とかを経ずに種ができるということであろう。
 むかごと言うとヤマノイモがすぐに思い浮かぶ。本種もヤマノイモも葉の腋にむかごをつけ、それが地上に落ちるとそこから繁殖する。ヤマノイモのむかごは径2〜3センチと比較的大きく食用となるが、本種のむかごはごく小さく食用にもならない。
 高さは20〜30センチほど。葉は小さなへら型、肉厚の多肉植物。田の畦や少々湿り気のある畑の縁などに生える。茎は地上を這い、節から根を出して広がる。
 茎の先に星型の花を着ける。色は黄色、開花期についての資料は無いが、私の写真は6月、もっともこれは四国愛媛で撮ったもの。文献の写真は1月なので、沖縄では冬でも咲いているようだ。私はまだ、沖縄では出会っていない。
 記:島乃ガジ丸 2012.11.29  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
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