キク
 アパートの1階にある親戚の事務所、その周りに花壇がある。過日、花壇の目立つ一角にキクの苗を植え、しばらくしてキクは白い花を咲かせた。それを見て事務所の、いつも元気はつらつの事務員M子が、「何でこんなところに葬式の花を植えるのよ!」と仰る。と言われて私も「そういえば葬式の花と言えば菊だったかなぁ」と思いつつも、
 「菊といえば・・・」と一節歌った。
 きれいな花ねー 菊の花 白や黄色の 菊の花ー
 それでもM子は「あ、そう。私には葬式花にしか見えないけどねぇ。」とのたまう。彼女も若い頃なら「あ、可愛い花」と言ったかもしれないが、オバサンとなった今の目には「葬式花」としか映らないのであろう。元気はつらつはカワイ子ぶりっこはしない。
 私の目には、キクの花は皇室の紋章であり、日本の国花である。そして、私にとって菊の花はまた、正月の花でもある。28日に切花を買って部屋に飾っている。蕾だったのが少しずつ開き、年が明けて良い開き具合となった。腰痛はあっても良い正月となった。
 2019年、明けましておめでとうございます。 
 キク(菊):花壇・切花
 キク科の多年草 中国大陸の原産 方言名:チク
 名前の由来は『植物名の由来』に詳しく解説されていて、要約すると「中国から渡ってきた園芸品種のキクは漢名の菊を音読みしたもの」とのこと。
 日本にはハマギク、ノジギクなどの自生種があるとのこと、沖縄にはオキナワギクという自生種があるということを図鑑で見て知っているが、まだお目にかかっていない。
 仏前に供えられていることの多い菊は、正月にも飾られる。その菊は、たいていは沖縄産。園芸品種として多種が栽培されている。多種類のどれも観賞用につくられた品種のようである。キクは広辞苑にも「特に観賞用につくられた園芸品種の総称」とあった。
 広辞苑の説明によると、「品種が非常に多く、花色は白・黄・桃・紅など。園芸上は大菊・中菊・小菊に、花の形状により管物・厚物・平物などに分け、・・・」とある。
 沖縄では正月の飾り用として電照栽培された菊が、県内だけでなく他府県の需要を満たすために正月前に多くが出回る。ちなみに電照栽培とは、大雑把に言えば短日性(日が短くなると花が咲く性質)植物であるキク(秋ギク、寒ギクの類)に夜間も灯を当てることによって「まだ咲く時期じゃないよ」と開花を遅らせること。
     
 記:島乃ガジ丸 2018.11.6  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
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 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
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 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
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 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『琉球薬草誌』下地清吉著、琉球書房発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行
 『グリーン・ライブラリー』タイムライフブックス発行
 『ネイチャーガイド 琉球の樹木』大川智史・林将之著、株式会社文一総合出版発行
 『つる植物』沖縄都市環境研究会著 (有)沖縄出版発行
 『熱帯アジアの花』ウィリアム・ウォーレン著、チャールズ・イー・タトル出版発行
 『講談社園芸大百科事典』野間省一編集、講談社発行
 『沖縄の薬草百科』多和田真淳・大田文子著、那覇出版社発行
 『沖縄食材図鑑』田崎聡著、有限会社楽園計画発行
 『自分で採れる薬になる植物図鑑』増田和夫監修、柏書房株式会社発行
 『家庭で使える薬用植物大図鑑』田中孝治著、社団法人家の光協会発行
 
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