カランコエ
 今回別項で紹介しているセイロンベンケイもカランコエ属であり、『沖縄園芸百科』には、カランコエという項目の中に本種やセイロンベンケイの他、キンチョウ、ベニヒモチョウチンなどが含まれていた。なお、セイロンベンケイの頁でも書いたが、属名のカランコエ属には和名があって、リュウキュウベンケイ属と言う。
 カランコエという名前はよく聞く。園芸店で小さな鉢物の名前でよく見かける。カランコエとは、ベンケイソウ科リュウキュウベンケイ属(カランコエ属とも)植物の数種を指すとのこと。セイロンベンケイも含まれるということである。しかしながら、カランコエというと、私はベニベンケイの姿がすぐに思い浮かぶ。園芸店ではおそらく、それがもっとも多いからだと思う。それがベニベンケイという和名であることは今回知った。
 別の何かの頁で、「植物の名前は和名の方が分り易くて好きだ」というようなことを書いたが、ベニベンケイも紅色をしたベンケイソウということで分り易いのだが、カランコエという名前はずいぶんと前から私の記憶にしっかり刻み込まれている。
 最近はそのような店に行く機会も少なくなったが、若い頃は模合(正当な理由のある飲み会)でも、仲間たちがカラオケをやった。カラオケの嫌いな私は、歌うのが大好きな奴らを見ながら、「煩せぇな、カラオケで歌い過ぎて声が涸れちまえばいいのに」とよく思っていた。カランコエは「涸らん声」を連想して、記憶に刻まれている。

 ベニベンケイ(紅弁慶):花壇・鉢物
 ベンケイソウ科の多年草 南アフリカ原産 方言名:なし
 本種は小さな鉢物として園芸店でよく見かける。園芸店ではカランコエ(Kalanchoe)という名前となっていることが多い。カランコエは学名の属名。ベンケイソウ科リュウキュウベンケイ属(カランコエ属とも)植物の数種を指す。広辞苑には「マダガスカル原産の数種の、園芸上の通称」とあった。数種あるとのことだが、その中でも、園芸店では本種ベニベンケイ(紅弁慶)を多く見る。
 というわけで、カランコエというとベニベンケイしか私には思い浮かばなかったが、本種の和名がベニベンケイということは、今回調べて、初めて知った。名前の由来はおそらく、紅い花の咲くベンケイソウということ。
 花茎を伸ばし、その先に小さな花を多くつける。多数の園芸品種があり、花色も赤色や黄色、白色などある。写真は職場にあったベニベンケイの黄色種。開花期については『原色観葉植物写真集』に1月から2月とあったが、職場のものは12月に咲いていた。

 紅花

 黄花


 ベニヒモチョウチン(紅紐提灯):花壇・鉢物
 ベンケイソウ科の多年草 方言名:なし
 長い花茎を横に伸ばし、先は垂れ下がる。垂れ下がったその先に多数の小さな花を下向きにつける。その長い花茎がヒモ(紐)、垂れ下がった形がチョウチン(提灯)、花色が紅いので、ベニ(紅)ということで、ベニヒモチョウチンという名前。
 地を覆うような形になるので、高さは20〜30センチくらいにしかならない。ベンケイソウの仲間が概ねそうであるように本種も多肉植物。開花期は3月から5月。




 キンチョウ(錦蝶):花壇・鉢物
 ベンケイソウ科の多年草 南アフリカ原産 方言名:なし
 キンチョウという名前の由来は不明。錦の蝶が何を指しているのか、写真をマジマジと見つめても解らない。花は紅色、または紫紅色で錦とは言えない。
 高さは1mほどになる。長い花茎を真っ直ぐ伸ばし、その先に多数の、釣鐘型の花をつける。開花期は冬。葉の縁にたくさんの子苗がついている。

 花
 記:島乃ガジ丸 2007.5.14  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
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