ジュズサンゴ
 私の部屋に、貴金属と呼ばれるものは一切無い。金も銀も、ダイヤモンドもルビーもエメラルドも、真珠もサンゴも無い。携帯電話やその他の電化製品の内部のどこかに、僅かばかりの金や銀が隠されているかもしれないが、それがそれであると認識できるような量としては存在しない。きっぱり無い。自信持って無い。
 これまでの長い人生で、貴金属を身に付けたことは一度も無い。高校、浪人の一時期を除いて腕時計さえも身に付けない。2、3度購入した腕時計も確か、1000円程度のものだ。私は、現金には興味があるが、貴金属にはあまり興味が無いのだ。なので私は、貴金属に異常な執着を見せる女性の気持ちが解らない。女心を理解できない男である。なので私はきっと、結婚できないのだ、ということにしておこう。

 ある日、時々訪ねている従姉の別荘で、その裏庭を覗いたら、まん丸の赤い実を付けている草を見つけた。ジュズサンゴであった。照りのある真っ赤な実がサンゴに喩えられている。普段はあまり着飾らない従姉だが、心のどこかには貴金属に対する憧れがあって植えたのであろうと思った。本人に確かめてはいないので、真偽の程は不明。

 ジュズサンゴ(数珠珊瑚):添景・花壇
 ヤマゴボウ科の常緑多年草 原産地は南北アメリカ、西インド諸島 方言名:なし
 文献に記載は無かったが、名前の由来は解りやすい。真っ赤に熟した果実をサンゴ玉に見立て、それが数珠のように連なって付くので、ジュズサンゴ(数珠珊瑚)。
 葉腋から花茎を伸ばし、小さな花を総状につける。花は白色であまり目立たない。果実は直径8ミリ内外あり、真っ赤に熟して観賞価値となる。開花時期や結実期についての資料は無いが、文献の写真や私の経験から判断して、果実が熟すのは夏〜冬。
 葉にも光沢があって、1株を見るときれいなのだが、群生していて、赤い実が付いていない時は雑草のようにも見える。花壇の植栽向きとあるが、さほど見かけない。
 文献に「高さ30センチから3メートル」とあった。なんとも幅の広い高さだ。分枝が多く、茎は横に広がるのに、3メートルでも草のままなのかと不思議に思う。私が見たものはどれも50センチから、せいぜい80センチ程度。原産地の熱帯地方では、すくすくと育って、3メートルにも伸びて、木のようになるのであろう。
 果実は染料にも利用される。果実はまた、若葉と共に有毒とのこと。

 花

 実
 記:島乃ガジ丸 2008.12.6  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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