イチハツ
 土曜日(20日)、図書館へ行った。植物や動物の本の他に、今回は首里城や、首里城近辺の史跡のことも調べようと思い、係りの人に、
 「首里城や周辺の建造物の歴史、成り立ちなどを調べたいのですが、それに関する資料や書籍はありますか?」と尋ねた。利用者として普通のこと。ところが、それに対する図書館の対応が普通でなかった。そう感じた私は驚き、そして、恐縮した。
 私が尋ねた相手はカウンターにいる若い女性の職員であったが、彼女は隣にいた別の女性職員に「知っています?」と訊き、訊かれた職員はまたその隣の女性職員に同じことを訊き、先輩らしきその1人が、首里城関係の書籍はこちらですと私を案内しながら、他の2人も付いてきて、さらには、奥の部屋から主任と思われるオジサンもやってきて、4人で探してくれた。土曜日の図書館、子供たちを中心に客は多い。職員たちもけして、暇では無いと思われた。それなのにこの対応。一昔前まで「お役所仕事」と言われ、職員の横柄さを非難されていたのに比べ、驚くべき変化なのである。「あなたたちは偉い!」と、恐縮しつつ、私は感謝したのであった。
 首里城及び周辺施設関連の書籍は、主任と思われるオジサンが探し出してくれた。パラパラとページを捲る。さすがオジサン、良い資料であった。

 その1ヶ月ほど前、首里城近辺を散歩した。毎年この時期(4月)になるとテレビや新聞で紹介される植物が、首里城近くの玉陵(タマウドゥン)に群生していて、その花の写真を撮るのが目的。散歩はそのついで。毎年話題になって、その名前は私も以前から知っていたが、実物を、それと知って観るのは、今回が初めてであった。

 イチハツ(鳶尾・一八):花壇
 アヤメ科の多年草 原産は中国 方言名:不詳
 鳶(とび)の尾に似ているということから鳶尾という漢字だろうが、鳶尾はイチハツという音にはならない。もう一つの漢字、一八がイチハツという音になるのであるが、何故その字なのかは不明。方言名はどの文献にも記載が無く不詳としたが、沖縄にも古い時代からあり、あの由緒正しき玉陵(たまうどぅん)に植栽されているところから考えても、きっと方言名はある。たぶん、イチハツを沖縄読みしてイチハチ、だと思う。
 高さは30〜60センチ。アヤメ同様、湿地を好むが、乾燥にも強いので、石垣の上部など乾燥しやすい場所でもよく見られる。
 アヤメに似た可憐な花、色は紫、または白。開花期は4月から5月。

 花

 紫花種

 紫花種の花
 記:島乃ガジ丸 2006.5.22  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
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