イヌシバ
 前回に引き続き芝、今回は、沖縄では西洋芝の代表と言えるイヌシバ。別名をセントオーガスチングラスと言うが、そっちの方が有名かもしれない。
 イヌシバはコウライシバと違い、日陰でも成育する。よって、木陰となるような箇所のグランドカバーに向く。また、踏圧に強いので運動場などの舗装に適する。
 ちなみに、イヌシバというと、脳味噌がオヤジギャグで占められている私は、イヌシバイ(犬芝居)をすぐ連想する。
 「オメェよ、日陰でも育つって言ったな。」
 「うん、ほら、ご覧の通りさ。」
 「芝は日向の植物だ、そんな犬芝居やめな。」
 「芝居じゃないよ、見てよ、こんなところでも育ってるだろ?」
 「へへっ、大方、どっかに鏡でも置いてるんだろうよ。」
 なんて話を、脳味噌が妄想癖で占められている私は思いつく。犬芝居、すぐに嘘と分る芝居のこと、・・・と思いつつ、念のためと広辞苑を引いたら、違っていた。
 犬芝居はそのまま「犬を訓練して演じさせる芝居」とのこと。「すぐに嘘と分る芝居のこと」という意味を持つのは猿芝居、そういえば確かに、そうであった。

 イヌシバ(犬芝):地被・鉢物
 イネ科の常緑多年草 アメリカ南部、熱帯アメリカ原産 方言名:なし
 コウライシバより葉が太く、丈も高いので全体に荒い感じがする。ということから、ちょっと劣ったという意味でイヌ(犬)と付いたと思われる。イヌシバという名前よりもセントオーガスチングラス、または、それを略したセントオーガスという名前をよく聞く。セントオーガスチングラスは英語名で、St.Augustine grassと書く。英語名は他にバッファローグラス(buffalo grass)とも言い、西部劇の草原を連想させてカッコ良い。
 茎が地上を這い、節々から発根して地面を覆うようにして広がる。成長が速いので広がり方も速いが、その分、芝刈りの回数も増える。放って置くと草丈が30センチほどとなって、雑草のように見た目も鬱陶しくなる。年に5、6回は刈りたい。
 踏圧に強いので運動広場に適し、また、耐陰性もあるので、樹木の陰の多い場所の芝生にも適する。葉は、コウライシバに比べて太いが、柔らかいので、よく刈り込まれていれば気持ちの良い感触となる。白い斑入り種もあり、鉢物にも利用される。

 花

 イヌシバとコウライシバ。手前がイヌシバ。
 記:島乃ガジ丸 2009.12.7  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
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