フブキバナ
 一人住まいを始めて12年近くになるが、そのほとんどの期間、私は宅配の新聞を取っていない。付き合いでたまには取るが、12年間で合わせて4年も無いと思う。そんなわけで、私の情報源は主にテレビである。であるが、テレビもまた、つけている時間は長いが、番組の内容を注視している時間は短い。何となく見て、何となく聞いている。
 私はまた、本もあまり読まない。仕事に関係すること、植物や動物の図鑑など図書館から借りて見ているが、社会の新しい情報を掲載している本、雑誌などは読んでいない。なもんだから私は新しい言葉をあまり知らない。外来語などにも弱い。
 近くにグループホームと看板のある建物がある。建物自体は私がここへ来る前からあったのだが、看板が立ったのは4、5年ほど前のこと。グループホームという言葉を私は知らなくて、「何屋さんだろう?」と覗いた。お年寄りが何人かいて、オバサンが何人かいる。で、何となく判った。「老人ホームの小さい奴か」と。

 それから1年後、その家の門のすぐ傍に見慣れない花が咲いているのに気付いた。薄紫の花が、ひとつひとつは小さいが、群れてたくさん咲いてすごく派手。介護を必要とするお年寄りたちに、少しでも明るい気分になって、と植えられたのかもしれない。

 フブキバナ(吹雪花):花壇・添景
 シソ科の常緑多年草 原産地南アフリカ 方言名:なし
 数年前からの新しい品種で、私が参考にしているどの文献にもその記載は無い。3、4年前に近所の家(グループホーム)の庭に咲いているのを見て、写真を撮ったのであるが、ずっと名前が判らずにいた。一昨年の春に、南部のどこかの町で、この花が咲き乱れて評判になっているというテレビのニュースがあって、それで、名前を知った。
 花の咲くさまが吹雪のようなのでこの名前がある。うむ、確かに吹雪のようではあるが南方系の花に吹雪とはいかがなものか、と私は思う。別名をイボザと言い、これは属名からで、別にハナフブキ(花吹雪)とも言うらしい。イボザはイボ痔みたいだし、ハナフブキはソメイヨシノを連想するし、まあ、それらよりはフブキバナがまだましか。
 「別名イボザ、ハナフブキ」、「シソ科イボザ属」、「南アフリカ原産」、「白い花が房状につく」、「高さは90〜180センチ」、「花期2〜3月」、以上はネットからの情報。「白い花が房状につく」については、私が見たどのフブキバナも薄紫色の花であった。「高さは90〜180センチ」については、まあ、だいたいそんなもの。「花期2〜3月」については、私の近所にあるフブキバナは2〜4月だったと覚えている。

 花
 記:島乃ガジ丸 2006.9.21  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
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