ホウセンカ
 てぃんさぐぬ花や チミサチ(爪先)にスミティ(染めて)
 ウヤぬ(親の)ゆし(言う)グトゥ(事)や チム(肝)にスミリ(染よ)
       ※ゆしグトゥ:文献には“由事”とあり“教え”と解説している。
 この沖縄のわらべ歌、というか教訓歌の「てぃんさぐぬ花」で有名なホウセンカを、じつは、つい最近(3年ほど前)まで、その実物を私は知らなかった。

 3年ほど前に突然、アパートの畑に見知らぬ花が咲いた。「なんじゃい、これ」と思って写真を撮り、会社に持っていって、植物に詳しい同僚に訊く。
 「ウチナーンチュがこれを知らないと恥だよ。ホウセンカ、てぃんさぐの花だよ。」とのこと。子供の頃から名前はよく知っていた花なのに、まったく言う通りである。ウチナーチュとして恥。が、“聞くは一時、聞かぬは一生”だ。これからは、「君たち、これがホウセンカだよ。てぃんさぐぬ花だよ。」と威張ることができるってわけだ。
 これがてぃんさぐぬ花か、と畑作業をするたんびにしみじみと眺める。近所のオバサンたちは、「邪魔になるよ。引き抜いたほうがいいよ。」などと忠告してくれたが、せっかくのてぃんさぐぬ花、もったいないと思い、私はそのままにしておいた。暫くして、枯れた。が、ホウセンカは翌年の春、畑のいたるところから芽を出した。想像以上の増え方だった。結局、梅雨の頃には全てのホウセンカを引っこ抜いた。オバサンたちの忠告に従っていさえすればほんの1分に満たない作業が、30分余の労働となってしまった。

 歌にあるように、古き良き時代には女の子がこの花で爪を染めて遊んだ。そのことから爪紅(ツマクレナイ)との別名もある。また、結婚したがっているモテナイ男がこの花を持っていると良く似合う。「妻くれない?」となる。

 ホウセンカ(鳳仙花):草花・または雑草
 ツリフネソウ科の一年草 原産分布は東南アジア 方言名:ティンサグ
 ナンクルミー(自然発生)する植物の一つ。開花期は周年。
 高さ30〜60cmほどになり直立する。花色は多種あり赤・白・紫など。直立した茎から横向きに少し垂れ下がったように花を出す。果実は熟すと破裂して種子を飛び散らせる。熟した頃、果実にちょっと手で触れると、びっくりするくらいの勢いで破裂する。1株を放っておくとあちこちから芽を出すので、畑では雑草扱いされる。
 公園の花壇に見かけるインパチェンスは同属で、和名をアフリカホウセンカと言う。種がはじけ飛ぶのはホウセンカと一緒で、一株あるとあちこちから芽を出す。しかし、本家のホウセンカに比べると、だいぶ好かれている。お行儀が良いからだ。さほど背は伸びず、こんもりとして、表に花を見せてくれるので、花壇の花として使いやすい。

 花

 白花
 記:島乃ガジ丸 2005.1.18  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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