ホタルブクロ
 沖縄の植物を紹介する本に載ってはいるが、私の生活する周辺では、少なくとも私が散歩する範囲内には、その実物を見ることの無い植物がいくつかある。もちろん、あるにはあるが、私の知識が足りなくて見逃してしまったり、あるいは、ぼんやり歩いているせいで気付かなかったりしているということも考えられる。
 今週別項で紹介しているツユクサもその一つで、そして、ここで紹介するホタルブクロもまたそれに含まれる。この2種は、少なくとも私の知識が足りなくて見逃してしまってはいない。ツユクサもホタルブクロも特徴のある植物で、見逃すことは無いはずである。ホタルブクロにいたっては、目の片隅に入っても、すぐにそれと気付くに違いない。
 案の定、松山の一草庵でツユクサを見つけたときは、
 「やあ、あなたがツユクサですね。初めましてですね。」だったし、四万十でホタルブクロを見つけたときも、
 「やあ、ホタルブクロですね。久しぶりですね。」であった。数年前か、あるいは十年以上も前かよく覚えていないが、ホタルブクロは昔、旅先で出会っている。

 ホタルブクロ(蛍袋・山小菜):観賞用鉢物
 キキョウ科の多年草 原産分布は北海道〜九州、朝鮮、中国 方言名:なし
 『名前といわれ野の草花図鑑』によれば、「この花の中にホタルを入れて遊ぶことからつけられた」と名前の由来が書かれてあった。同書には「火垂る(ちょうちん)袋」という別説も併記されてあったが、それについては広辞苑にも載っており、「茎頂に淡紫色の大きな鐘形花を数個下垂、そのさまが提灯(火垂る)に似る」とのことである。
 高さ40〜80センチになるようだが、『沖縄植物野外活用図鑑』によると沖縄では20〜40センチ。山地低地の道端、野原に自生する。
 釣鐘型の大きな花。色は白から淡紅色で、濃紫色の斑が入る。開花期、本土では6月から8月とのこと。沖縄では「初夏」と『沖縄植物野外活用図鑑』にあった。

 花
 記:島乃ガジ丸 2006.7.31  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
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