ヒリュウシダ |
イネ科の雑草は見た目似ているものが多く、パソコンの不明植物フォルダの中の、雑草イネ科フォルダには約40種の写真が収められている。これらが何者か判明するのは、オッサン(私)の脳味噌を叱咤激励してもっと勉強して後、何年も先になるだろう。 イネ科植物は、見た目で「これはイネ科だな」と判るものが多い。なので、1つのフォルダにまとめることができる。他の植物は何科なのか判断できないものが多いので、それらは科別では無く、木本、草本のそれぞれを花の色などで分けている。花の咲いていない場合は葉に特徴のあるものは「葉」フォルダなどに収めている。 シダ類は「シダ類」として1つのフォルダがある。これもイネ科と同じく見た目で「これはシダ類だな」と判るものが多いからだ。シダは全体の形や葉に特徴がある。 ところがまた、シダ類もイネ科と同じく見た目似ているものが多く、そのフォルダの中には10種余の写真が収められている。古いものは2008年4月の写真だ。5年以上も何者か不明のまま放っておかれているわけだ。それをオッサンは頑張った。 手持ちの図鑑2冊に沖縄のシダ植物があり、それらに加え、図書館からさらにもう1冊の沖縄のシダ植物を紹介している図鑑を借りた。パソコンの写真と図鑑の写真を見比べること1週間、述べ10数時間かけて6種類が判明した。ヒリュウシダもその1つ。 ヒリュウシダ(飛竜羊歯):鉢物 シシガシラ科の多年生シダ 屋久島以南の南西諸島などに分布 方言名:シシバー 名前の由来は資料が無く不明。シダは広辞苑にあり、羊歯と書いて「茎は多く地中にあり、そこから葉と根を生ずる」とあり、また、羊歯植物の項では「苔植物と裸子植物との中間に位し、胞子で繁殖する植物。無性世代(胞子体)は葉・茎・根の区別があり、大木となる木生シダもある・・・」と難しい説明がある。私の認識では「花は咲かない、実も着けない、葉の裏に胞子があり、繁殖は胞子による」となっている。 飛竜という漢字は私の想像による。飛竜は「空を飛びまわるという竜」(広辞苑)で、本種がシシガシラ科であることから思いついた。シシガシラは獅子頭で、シシガシラ科のシダ類の姿が獅子頭に似ているからであろう。獅子頭に喩えられるほど勇壮であれば、飛竜もまた似合う。すると、方言名のシシバーは獅子葉のことかもしれない。 山地の路傍などに生える葉長2mほどになる常緑の大型シダ。「根茎は太く、大きな塊状で、立ち上がって直立する」と文献にあったが、根茎は未確認。「葉は大型で多くが集まって束生する」、「葉は1回羽状複葉複生、小葉は線形で長さ10〜30センチ」などについては写真の通り。葉柄は黄褐色で小葉ともに光沢がある。「春先の若葉は深い紅色を帯びて見事」ともあり、鉢物にして観賞するのに向いているとのこと。 陽地性で過湿に弱い。新芽は食用になる。 |
記:島乃ガジ丸 2013.10.5 ガジ丸ホーム 沖縄の草木 |
参考文献 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行 |