ヒメヒオウギ
 「深みにはまってしまった」というのか、前にヒオウギを紹介した時に、似たようなものでヒオウギズイセン、ヒメヒオウギズイセンとがあることを知り、その頁でついでに紹介した。その後、職場の庭にまたもや似たような花を見つけ、調べると、ヒメヒオウギという植物であった。ヒオウギ(檜扇)、ヒメヒオウギ(姫檜扇)、ヒオウギズイセン(檜扇水仙)、ヒメヒオウギズイセン(姫檜扇水仙)等々は、確かに実物を見比べると違う植物であることは判るのだが、こうやって名前を並べると何ともややこしい。
 「よっしゃ!」と覚悟を決めて、職場の書棚で埃をかぶっていた分厚い本を取り出す。『寺崎日本植物図譜』という。それで、植物の学名をいちいち調べることにした。小さな文字が並んでいるので、老眼鏡をかけなければ見えない。テキトーに身近な植物を紹介するだけのつもりであったが、見た目で判るものだけでいいやと思っていたのだが、とうとう学名まで・・・。「深みにはまってしまった」のである。

 ヒメヒオウギ(姫檜扇):花壇
 アヤメ科の多年草 南アフリカ原産 方言名:なし
 ヒオウギに似て、ヒオウギより全体に小ぶりなのでヒメとつく。ヒオウギの由来についてはヒオウギの頁に書いてあるが、檜扇を開いた形に似ているところから。
 草丈は10〜15センチ。葉の間から長い花茎を伸ばし、その先に朱紅色の花を数個つける。花弁の6枚のうち3枚は、その基部が濃紅色をしている。開花期は4〜6月。

 花

 ヒオウギの類は、名前の似たのがいくつもあってややこしい。ヒメヒオウギズイセンはヒオウギズイセンとヒメトウショウブの雑種で、この3種は同属だが、残りのものはそれぞれ属が違う。せっかく調べたので、学名を紹介する。
 ヒオウギ(檜扇)Belamcanda chinensis DC. →記事
 ヒメヒオウギ(姫檜扇)Lapeirousia cruenta Baker
 ヒオウギズイセン(檜扇水仙)Crocosmia aurea Planch.
 ヒメヒオウギズイセン(姫檜扇水仙)Crocosmia×crocosmiiflora N.E. Br.
 ヒメトウショウブ(姫唐菖蒲)Crocosmia pottsii N.E.Br.
 トウショウブ(唐菖蒲)Gladiolus gandavensis Van Houtte グラジオラスのこと。
 記:島乃ガジ丸 2006.8.25  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
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