ヒマワリ
 姉は結婚してすぐにアメリカへ行き、以来、アメリカ暮らしが続いている。アメリカ人と結婚したわけでは無い。相手は静岡人なんだが、アメリカの大学を卒業し、台湾で姉と知り合い、しばらく日本で暮らし(二人で私の小さなアパートに居候していた)た後、結婚した。義兄は英語が堪能なため、アメリカに職を得、で、アメリカへ渡った。
 「台湾で姉と知り合い」とはどういうことかというと、姉は当時、台湾大学に在籍しており、そこへ語学留学してきた義兄と出会ったのである。
 台湾で4年だったか、5年だったかを過ごした姉は、一時期ずいぶんと太った。台湾の食い物が美味しかったらしい。そんな姉が台湾土産として持ってきたものにヒマワリの種というものがあった。当時、私が住んでいた武蔵境のアパートは1階に部屋があり、そこには奥行き1mほどの小さな庭があった。その庭に「ヒマワリでも植えたら」という意味の種では無かった。食べるためのヒマワリの種であった。
 「そのまま食うの?」と訊いたら、
 「殻を剥いて食べるのよ」と答える。ヒマワリの種は小さく(8ミリほど)て薄い(2ミリほど)ので、皮を剥くのはすごく面倒そうである。やってみると確かに面倒。イライラする。こんなイライラした作業をやり遂げたとしても、その成果は小さい。たとえそれが美味だったとしても、正当な対価では無い。で、私は食べるのをやめた。すると、
 「こうやるのよ」と姉が言って、種を1粒口の中に入れて、口を少し動かした後、ペッと殻を吐き出した。ずいぶん器用な口である、と私は思った。
 「台湾の人はこうやって皆が吐き出すから、食堂なんかでヒマワリの種を食べているテーブルの周りは、床の上は殻だらけになったりするよ。」とのことであった。
 ヒマワリは種を食べるだけでなく、種から食用油も採れる。もちろん、夏の花として、花壇を彩り、人々の目を楽しませてくれるという役にも大いに立つ。

 ヒマワリ(向日葵):花壇
 キク科の一年草 北アメリカ原産 方言名:なし
 向日葵という字をよく見るが、「日回り」とも書くようだ。向日葵は太陽に向かって咲くアオイ(アオイ科では無いが)ということで、日回りは太陽が動くのに会わせて花の向きを回すということで、どちらも同じような意味。ただし、実際には、花は太陽に向かって動くことは無いとのこと。大きく鮮やかな黄色の花は、いかにも、夏の明るい陽光を浴びるのにふさわしいと、昔の人は感じたのだろう。私も同様に感じる。
 高さは一般に2mほどだが、多くの園芸品種があり、建物の2階の屋根に届くほどのものもある。1本の茎から1つの花が咲いているものをよく見かけるが、スプレー状に咲いているものもある。私が小学校の頃、学校の花壇にあったヒマワリは、花の大きさが直径20センチ位のものであったが、今はさらに大きなものもあるそうだ。
 ニチリンソウ(日輪草)、ヒグルマなどの別称がある。なお、広辞苑には北アメリカ原産と記載されていたが、『沖縄植物野外活用図鑑』にはメキシコ原産とあった。
 記:島乃ガジ丸 2006.11.12  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
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