ハゼラン
 先日、二ヶ月ぶり(たいていそうだが)の散髪屋へ行く。もちろん、髪を切ってもらいにだが、そこの亭主も女将さんも植物が好きで、特に薬用となる植物が好きで、庭に多くの薬用植物を置いてある。で、散髪を済ませた後は女将さんと庭に出て、薬用植物についていろいろ教わったり、「これ貰い物なんだけど名前が分からないのよ。」という植物があれば、それを写真に撮ったり、これまでの調査結果を報告したりする。
 今回、今までに無かった鉢物が玄関前に飾られてあった。今までに無かった鉢、そこに生えている植物は、まだこのHPでは紹介していないが、私には見慣れたもの。
 「これはハゼランですよ、その辺の雑草ですよ。」と私は、わざわざ鉢物にする必要の無いものだと暗に言ったのだが、
 「そんな名前じゃなかった。これは薬草、肺病とか糖尿病に効くらしいのよ。」とのこと。なので、念のために写真を撮り、「調べます」となった。
 調べたらやはり、写真の植物はハゼラン。女将さんが言うとおり薬用になる。そして、別名があった。サンジソウ、女将さんはきっと、この名で貰い受けたのであろう。

 ハゼラン(粶蘭):野草・薬草
 スベリヒユ科の一年草 熱帯アメリカ原産 方言名:イチジュールー
 名前の由来が『名前といわれ野の草花図鑑』にあった。「小粒の蕾から一気にはぜるように花が開き」からハゼ、「花がきれいなことから蘭にたとえて」からランとのこと。漢字の粶蘭も同書からだが、粶蘭の意味は不明、粶はまた、私も初めて見る珍しい字、ロクと読むが、広辞苑にも漢字源にも記載の無い漢字であった。
 茎は直立し、高さ40~60センチほどになる。花柄は枝分かれして、径6~7ミリの小さな花を多数つける。色は淡紅紫色。開花期、文献には7月から10月とあったが、私の経験ではもっと長く咲いている。沖縄では5月から11月としておく。
 草丈は20~60センチ。果実は球形で径4ミリ内外、黄~赤色をしており、これも可愛い。薬草としても利用されるとあったが、詳細は不明。ただ、散髪屋の女将さんの話によると肺病や糖尿病に効くとのことであった。根に芋のようなものができる。
 文献では野草扱いであったが、全体に可愛いこと、そう繁殖しないことで鉢植えや庭の下草などに使えそうだったので、ここでは雑草扱いとはしなかった。

 花と実
 記:島乃ガジ丸 2009.6.16  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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