ハチジョウカグマ |
植物の名前や動物の名前のその由来に私は多少興味があって、できるだけ調べるようにしている。名前の由来を記したいくつかの文献も持っている。いくつかの文献の内、最初に見るのは広辞苑、広辞苑には名前の漢字が記されていることが多い。漢字が判ると由来が想像しやすいことが多い。そうやって勝手に想像して、後で別の文献で確かめる。 ハチジョウカグマは広辞苑に無く、他の文献にも名前の由来や漢字表記は載っていなくて、したがって、自分で勝手に想像するその勝手度合いは100%の勝手となった。 100%勝手に想像はしたけれど、カグマについては私の想像も及ばなかった。「たぶんこうだろう」と思えるほどの想像もできなかった。カグマという言葉は、漢字表記は記されていなかったが、意味は広辞苑にある。「リョウメンシダの別名」とのこと。たったそれだけで、リョウメンシダの別名が何故カグマなのかは書かれていない。 そこで、その漢字表記を勝手に考えた。先ず「嗅ぐ魔」、「匂いを嗅ぐことが好きな魔物がいて、その姿が、例えば髪の毛がシダの葉のようになっている」から。そしてもう一つ「家具間」、「山に住む魔物のテーブルや椅子、チェストや本棚などの間に生えていそうなシダ」だから。・・・どちらも全く説得力が無いので、自ら却下した。 ハチジョウカグマ(八丈かぐま):鉢物 シシガシラ科の多年生シダ 関東南部〜南西諸島、台湾などに分布 方言名:シシーバ 名前の由来は資料が無く不明。八丈と漢字を充てたのも私の勝手な推理による。八丈を勝手に充てて、カグマはどうした?と言われそうだが、カグマは全く想像できなかった。ただ、カグマを広辞苑で引くと「リョウメンシダの別名」とあった。リョウメンシダはオシダ科の常緑シダで本種と科は異なるが、見た目似ているらしい。 八丈については、八丈島で多く見られるからとも考えたが、葉が大きく、それを八丈と喩えたからではないかと考えた。方言名のシシーバは前回紹介したリュウビンタイのシシバと同じで獅子葉という意味だと思われる。両者は同じシシガシラ(獅子頭)科。 「葉の表面にびっしりと無性芽をつけることから」コモチシダ(子持ち羊歯)という別名がある。陽地性のシダで多湿を嫌う。若葉は濃い紅色となり美しいとのこと。 低山地の川岸、土手、路傍、崖などに生育する大型のシダ。「湾曲した葉を垂れ下げて群生する」と文献にあったが、私が見たのはまだ若く、群れてはいなかった。 |
記:島乃ガジ丸 2013.10.25 ガジ丸ホーム 沖縄の草木 |
参考文献 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行 |