ハルシャギク
 オオキンケイギクは去年の5月、金曜日の職場の近辺を散歩している時に道路の植栽帯で発見したが、そのほんの4分前にも似たようなキク科の花を見つけ、写真に撮ってあった。両者ともその数日後には図鑑で調べ、名前は判明した。4分前のものはハルシャギクという名前だった。ところがその後、すっかりその存在を忘れてしまっていた。
 今年の5月になって、近くの図書館の花壇でオオキンケイギク再発見した。「再」と書いたがその時はその名前どころが、去年既に写真を撮ってあることさえ忘れていた。写真を撮って調べる。オオキンケイギク。聞いたことある名前。パソコンのアルバムを見ると去年の写真があった。その1ヶ月前の4月には、金曜日の職場の近くでハルシャギクを再発見する。これはしかし、しばらくして名前を思い出した。そのお陰で、去年と同じ場所であることも思い出した。写真を撮ったことも思い出した。
 ハルシャギクは名前を調べた時に、その名前が漢字では波斯と書き、それはペルシアのことを指しているということを知った。ペルシアと言えばイラン。イランと言えば核開発問題という戦争につながる危険性を持つ国だが、その隣のイラクは、ノータリン沸酒が戦争を続けている国。などという連想からハルシャギクは記憶の片隅にあったのである。名前に興味を持てば、たくさんの植物も覚えられないことは無い、と少し希望を持つ。

 ハルシャギク(波斯菊・春車菊):花壇
 キク科の一・二年草 北アメリカ原産 方言名:なし
 漢字の波斯はハルシアと読み、「ペルシアの訛」(広辞苑)とのこと。ペルシアはイランの旧称。ペルシャと発音すると私は思っていたが、どうも間違いのようである。それはともかく、北アメリカ原産であるのにペルシアと言う。何故かは不明。もう一つの漢字、春車は、花の形を車輪に見立てたというのは解るが、春の花では無い。これも不明。別名をジャノメソウ(蛇の目草)、クジャクソウ(孔雀草)というが、これらについては、花の見た目(中心部と周囲の色が違って目玉に見える)から来ていると思われる。
 高さ50から100センチ。花の中心が濃い赤褐色で、その周りが鮮やかな黄色をしていて目立つ。広辞苑に「開花期は夏」とあったが、文献の写真は6月で、私が見たのは4月と5月。沖縄では早めに咲くのであろう。観賞用として栽培されたが、性質が強いので流出して野生化したりするらしい。私が見たのは街路樹の植栽帯。
 記:島乃ガジ丸 2006.10.28  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
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