グラジオラス
 子供の頃、植物にも動物にも興味を持っていなかった私は、小中学校での理科のその分野(物理などは好き)、高校になっての生物の時間は退屈であった。男の子の多くが好きであろう恐竜や、ウルトラマンに出てくる怪獣にもさほど興味が無く、それらの名前をおそらく、クラスの中で一番知らない少年だったと思う。

 グラジオラスなんて、今から思えば面白い名前である。語尾のラスは怪獣の名前にありそうである。ラジオはテレビラジオのラジオ。受験生なのにラジオばっかり聴いて勉強しない少年が、ついに怪獣に変身してしまう。愚ラジオラスとなる。愚ラジオラスはやがて死んで、その遺体の後から植物の芽が出て、すらっと伸びて、赤い花が咲いた。なんていう風に覚えれば、グラジオラスは覚えやすい植物となる。
 今回調べて初めて知ったのであるが、グラジオラスの和名はトウショウブ(唐菖蒲)と言うらしい。が、ショウブと読む菖蒲はサトイモ科の植物で別種。紛らわしいのだが、菖蒲と書いてアヤメとも読む。アヤメはアヤメ科アヤメ属ののアヤメ。「いずれアヤメかカキツバタ」のカキツバタは杜若と書いて、菖蒲という字からまったく離れるが、アヤメと同じアヤメ科アヤメ属の植物。グラジオラスはアヤメ科グラジオラス属。
 怪獣愚ラジオラスとせっかく覚えやすくしたのであったが、こうやって細かく調べるとやはり面倒なのである。学問の道は厳しい。

 グラジオラス(Gladiolus):花壇・切花 →写真
 アヤメ科の多年草 南アフリカ原産 方言名:なし
 グラジオラスという名前は属名から。和名としてはトウショウブ(唐菖蒲)、または、オランダアヤメ(阿蘭陀菖蒲)という名がある。菖蒲はショウブともアヤメとも読む。ショウブに似ているからトウショウブということなんだろうが、ショウブはサトイモ科で本種はアヤメ科。アヤメという名でオランダから、ショウブという名で唐から、きた?
 『沖縄植物野外活用図鑑』では雑草扱いされているが、親戚の畑にもあちこちからナンクルミー(自然発生)してきて、確かに雑草の様でもある。が、4月から5月と期間限定の発生で、花もきれいだし、切花にもなるしで、そう邪魔なものでは無い。
 野生種は赤色の花が多い。開花期は4月から5月。園芸品種が豊富で、花色も赤、桃、黄、紅、紫など多彩。春に開花するものと夏に開花するものがあるとのこと。
 記:島乃ガジ丸 2006.8.25  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
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