ゲッカビジン
 シチガチショーガチ(七月正月)と呼ぶほどに、沖縄では、お盆は正月と並んで大きな行事となっている。沖縄の盆はもちろん、陰暦7月13日〜15日に行われる。
 「もちろん陰暦」とは?・・・太陽暦の7月13日〜15日、または、8月13日〜15日に行われる地方も(が?)多いらしいので、全国的には「もちろん}とは言えないかもしれないが、お盆の夜は満月という印象を私(に限らず、ウチナーンチュの多く)は強く持っている。で、概ね満月となる陰暦15日(太陽暦の15日は、満月とは限らない)がお盆の日である。よって、お盆は、「もちろん陰暦」となる。

 記憶はおぼろげだが、お盆の頃になると思い出す花がある。父の自慢の花であった。お盆のウークイの日は先祖を送るため、大晦日は年越しソバ(我が家は母自慢の鍋焼きうどんが恒例であった)を食べるため、夜遅くまで起きていることを許されたが、この花が咲く日もまた、遅くまで起きていいことになっていた。

 ゲッカビジン(月下美人):鉢物・花壇
 サボテン科の多年生多肉植物 メキシコ〜ブラジル原産 方言名:なし
 ゲッカビジンという名前の由来については資料が無く、不明。おそらく、夜遅く咲き、純白で、大きく、香りも良いことから月下の美人に喩えられたのであろう。
 クジャクサボテンと同属。クジャクサボテン類は、サボテン科の中では最も大輪の花を咲かせる。ゲッカビジンも大輪、径25センチほどになる。クジャクサボテンには多くの品種があり、それらは概ね昼咲きとのことだが、ゲッカビジンは夜に咲く。夕方から開き始め、夜10時から11時頃には満開となり、早朝にはしぼむ。
 姿や茎の形状などはクジャクサボテンとほぼ同じ、扁平で葉状、棘はほとんど無い。花は純白大輪で芳香がある。開花期は6月から9月。

 花
 記:島乃ガジ丸 2009.9.5  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
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