ボタンウキクサ
 私の、金曜日の職場の近くに従姉夫婦の別荘がある。別荘は15年ほど前に建てられたが、その直後に亭主が転勤となって二人は沖縄を離れた。で、できたばかりの別荘の管理は、その後数年の間、私がやることとなった。
 私は、自分で言うのもなんだが、働き者である。自分の妄想の世界に入り込んでボケーっとしていることがしばしばあるが、寝そべってテレビを観るようなダラダラした時間は正月の数時間を除いてはほとんど無い。作文したり、絵を描いたり、調べものしたり、休日には部屋の掃除、畑仕事、散歩、職場の庭手入れ、などなどと動いている。しかしながら私は、働き者ということと矛盾するようでもあるが、面倒臭がり屋でもある。
 従姉の別荘は庭が広い。駐車スペースや畑、屋上庭園などを含めると40〜50坪ほどはある。畑の管理は当時、父がやっていたので、残りの20〜30坪ほどが私の分担であった。働き者ではあるが面倒臭がり屋の私は、管理が楽であるような庭作りをする。つまり、空間を多くし、植栽は控えめにした。すっきりとした庭となった。

 数年後、従姉夫婦が戻ってきて、すっきりした庭は徐々に変化していった。2、3年も経つと、草木の量が著しく増え、雑然とした庭となった。どうも団塊の世代は、雑然とか混沌とかが好きみたいである。庭は草木で埋め尽くされた。
 池にも水生植物が出現した。初めはホテイアオイだけだったが、ホテイアオイだけでも繁殖して、その処理に難儀するのだが、2年ほど前からボタンウキクサの姿も現れた。ボタンウキクサも大いに繁殖する。今では3つに分けられた池の一面を覆っている。

 ボタンウキクサ(牡丹浮草):水面
 サトイモ科の多年草 熱帯原産の帰化植物 方言名:ウチクサ
 『沖縄植物野外活用図鑑』に名前の由来があった。「上から見た草全体の様子が牡丹の花に似ていることから」とのこと。そう言われれば、私にもそう見える。そう言われなければ、私にはサラダ菜のような葉野菜に見える。むろん、サラダナウキクサよりもボタンウキクサとした方が、文字としても音としてもきれい。池や沼など流れの緩やかなところに生える水面植物。水面に浮くことからウキクサ(浮草)。 
 葉の長さ3〜10センチ。根元から枝を出して広がり、水面を覆う。観賞用の他、飼料や肥料としても利用される。 
 花についての記述が文献に無かった。私もボタンウキクサの花は見たことが無い。咲かないのか、咲いたとしても目立たないのか不明。花は無くとも、葉が牡丹なので、それで十分に観賞価値があるということ。
 記:島乃ガジ丸 2007.9.1  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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