アカボゲットウ
 今週の火曜日(15日)は沖縄の伝統行事の一つ、ムーチーであった。ムーチーについてはガジ丸HPの『鬼より怖い先公より怖い』で述べている。大雑把に言えば、餅を食って健康を祈願するという行事。寒い冬、風邪を引かないようにね、ってこと。
 餅のことをウチナーグチ(沖縄口)ではムチと言う。単にモチのウチナー読みである。ムーチーと語尾を伸ばすと、「餅の(もの)」という形容詞、または形容するものを含めた名詞となる。これはウチナーグチの特徴で、例えば、
 「まーかいが(どこへ行くのか)?」
 「アメリカんかい(アメリカへ)。」と、語尾を伸ばさないで言うアメリカは、単にアメリカ(合衆国)を指しているが、バーボンを飲んで、
 「くぬさきやアメリカーやさやー(この酒はアメリカ物だな)。」と、語尾を伸ばして言うとアメリカの物という意味を持つ。
 ということで、ムーチーは単に餅のことを指しているのでは無く、餅の日(鬼餅の日)を指し、また、その日食されるカーサムーチーのことを指す。
 (※カーサムーチーについてはガジ丸HP『ムーチー』参照。)
 カーサムーチーのカーサは皮のこと。餅を包むゲットウの葉のことを指している。ゲットウの葉は芳香があって、餅にその香りをつけてくれる。
 今回紹介するアカボゲットウは、その名前ではあまり知られていなくて、園芸店の鉢物などはレッドジンジャーという名前で売られていて、その名が有名。であるが、和名のアカボゲットウがより正確で、ゲットウとアカボゲットウは同属。ショウガは別属。

 アカボゲットウ(赤穂月桃):生垣・鉢物
 ショウガ科の多年草 原産分布は南太平洋諸島 方言名:なし
 アカボは赤い穂、長い花茎の先に花を穂状につけ、その苞が赤く目立つことから。ゲットウは同属のゲットウに全体の姿や葉が似ていることから、だと思われる。
 レッドジンジャーという名前が一般的なのかもしれない。『沖縄の都市緑化植物図鑑』にはその名前で載っており、アカボゲットウは別名としてある。レッドジンジャーはその通り「赤いショウガ」という意味の英語名。
 同じ『沖縄の都市緑化植物図鑑』に「熱帯地方では高さ4mになる・・・」とあった。株立ち性なので、そんなに大きくなると煩くて、民家の庭には使えないかもしれない。だが、沖縄では高さ1〜2mに留まる。で、生垣に使える。
 花は白色で小さく目立たない。花を包む苞が大きく、鮮やかな赤色をしており、よく目立つ。赤色の他、桃色もあるとのこと。開花期は周年。
 ちなみに、アカボゲットウとゲットウは同属で、それぞれの学名は、
 ゲットウ Alpinia zerumbet cv.”Variegata"
 アカボゲットウ Alpinia purpurata

 花
 記:島乃ガジ丸 2008.1.14  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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