アフリカホウセンカ
 ホウセンカのことをウチナーグチ(沖縄口)でティンサグと言う。『ティンサグぬ花』という沖縄では知らない人はいないというほど有名なわらべ歌があって、それで、私もその名前は子供の頃から知っていた。名前は知っていたが、「これがそれである」と実物を知ったのは、つい7、8年前のこと。その時私は「これがそれである」と、淡々と得心したわけでは無い。「えーっ、お前があの有名なティンサグか!」と少し驚いた。
 ホウセンカの実物を知るずっと前に、私はインパチェンスの存在を知っていた。公園の花壇を赤、白、紫など、それぞれの色で塗り潰しているかのように咲いている花を見て、「見事!」と思い、花壇に立てられてあった名札を見て、その名を覚えた。
 後日、インパチェンスの和名がアフリカホウセンカであることを知る。であれば、ティンサグぬ花もこれに似ているのであろうと勝手に思い込む。そう思い込んでいたので、これがティンサグぬ花であると教えられた時、少し驚いたのであった。
 ホウセンカは直立し、分枝が少なく、葉脇から花が出て、下向きに咲く。とても地味である。しかし、アフリカホウセンカは分枝が多く、こんもりとした形になり、たくさんの茎先に花をつける。花が出たがり屋なのである。で、すごく派手に見える。この2つが同じ仲間であることは、すぐには信じられなかったが、種を見て、納得した。

 アフリカホウセンカ(阿弗利加鳳仙花):花壇
 ツリフネソウ科の一年草(または多年草) 原産は南アフリカ 方言名:なし
 名前の由来について、参考文献のどれにも資料は無いが、ホウセンカの仲間で南アフリカ原産なのでアフリカホウセンカなのであろう。別名をインパチェンスといい、園芸店などではその名でよく知られている。インパチェンスは属名(Impatiens)で、ホウセンカも同じということになるが、インパチェンスといえば普通は本種のことを指す。
 草丈は30〜50センチ。よく枝分れし、自然にこんもりとした形になるので花壇の装飾の他、グランドカバーにも使える。園芸店には鉢物もよく見られる。
 こんもりとした枝先に次々と花をつけ、盛りになると表面が花色に染まるほどになる。花色はホウセンカよりさらに多彩で、赤、紅、赤紫、桃、白などあり、また、八重咲き種もある。開花期は周年であるが、沖縄では冬の方がよりきれいに見える。
 ホウセンカ同様、種子がはじけ飛んで、その周辺から自然に生えてくる。

 混色

 斑入り
 記:島乃ガジ丸 2010.3.23  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
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