ムラサキクンシラン
 君子とは「高い身分の人。人格が立派な人。徳が高くて品位のそなわった人。品位の高い人。人格者」(広辞苑)とあるが、紫君子でもう一つ思い出した。聖徳太子の『冠位十二階』である。その十二階は色でも分けられていて、最上は紫であった。・・・念のため広辞苑で確かめる。「冠名は儒教の徳目を参考にして徳・仁・礼・信・義・智とし、おのおのを大・小に分けて12階とした。各冠は色(紫・青・赤・黄・白・黒)とその濃淡で区別」。おー、当たっていました。私の脳味噌もまだ大丈夫みたいだ。
 そんな高貴な名前のついたムラサキクンシランであるが、実は私は、この名前をまったく知らなかった。クンシラン(君子蘭)は知っている。クンシランは南アフリカ原産で、ヒガンバナ科の多年草。過去に何度か園芸店などで見ている。そのクンシランの仲間で、紫色の花を付けるからムラサキクンシランという、のかと思ったら、違っていた。ムラサキクンシランはユリ科、アガパンサスという名前で有名。
 それにしても、アガパンサスが和名ムラサキクンシランというだけでなく、聖徳太子まで出てくるなんて、このガジ丸HPは勉強になる。・・・自画自賛。

 ムラサキクンシラン(紫君子蘭):花壇・切花
 ユリ科の多年草 南アフリカ原産 方言名:ヒャクシリン
 クンシランは南アフリカ原産の多年草で、ヒガンバナ科。本種は、広辞苑にはヒガンバナ科とあったが、『沖縄園芸百科』にユリ科とあり、こちらが正解。で、クンシランとは別科であるが、葉の形が似ているからなのかクンシランと名がついている。ムラサキは、花が紫だから。その和名よりも、実は属名であるアガパンサスという名の方が有名。英語名はアフリカンリリー(African lily)、和名よりずっと分かりやすい。
 乾燥に弱い。従姉の庭のものは池の中で育てられていた。地下に長さ10センチほどの塊茎を持っている。そこから細長い葉が左右対称に出てくる。その葉の中央から長さ40〜80センチの花茎が伸びて、その先端にたくさんの花を散形状につける。品種によって花色は濃紫、青紫、白などがある。開花期は4月から5月。切花、花壇に用いる。
 記:島乃ガジ丸 2006.9.21  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
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