ウナズキヒメフヨウ
 漠然とした昔、芙蓉(フヨウ)という名前のとても可愛い姫がいた。姫は誰にでも優しく、頼まれたら嫌と言えない性格で、家来の言うことに対しても大人しく従った。なわけで、いつかしら周りの男たちの玩具にされた。なんていう話は、『肯き姫、芙蓉』というタイトルで、アダルトビデオにでもなりそうだが、そんなもなぁ、無い。
 今回紹介するウナズキヒメフヨウは「肯き、姫芙蓉」と区切る。アパートから職場へ徒歩で行く場合、小学校を通って行く。東門から西門へ抜ける。西門を出ると公務員住宅の敷地内を通る。そこの街路樹、高木はホルトノキで、低木はハイビスカスとウナズキヒメフヨウが半々で植えられている。ハイビスカスは花色がピンク色の品種で、あまりパッとしないが、ウナズキヒメフヨウは鮮やかな赤。冬の陽射しに照り輝いて、よく目立つ。

 ウナズキヒメフヨウ(肯き姫芙蓉);添景・生垣
 アオイ科の常緑低木 原産分布はメキシコ、コロンビア 方言名:なし
 同じくメキシコ原産のヒメフヨウの変種で、ヒメフヨウが花を上向きに咲かすのに対し、本種は下垂するのでウナズキ(肯き)と名がつく。別名をマルバビスカスというが、本種の葉は楕円形であり、丸くない。属名がMalvaviscusとなっている。
 高さは3mほどになるが、萌芽力が強く、刈込みに耐えるので丈の低い生垣としても使える。もちろん、高い生垣でも、単独の添景としても利用できる。
 花期は長く、9月から4月頃まで。冬場の方が鮮やかさを増す。花は赤色、花弁は開かないが、太陽の光に当ると照り輝いてきれい。基本種のヒメフヨウは上向きに花を咲かすが、本種は葉腋から葉柄を出し、垂れ下がって咲く。
 陽光地を好み、成長は速い。花色は赤の他に白、桃などがある。当年枝に花は付く。

 花

 ついでに、
 ヒメフヨウ(姫芙蓉);添景・生垣
 アオイ科の常緑低木 原産分布はメキシコ、南アメリカ 方言名:なし
 花が小さいのでヒメ(姫)と名がつく。フヨウはハイビスカスと同じHibiscus属であるが、本種はMalvaviscus属。が、葉の形状が似ているのでフヨウなのであろう。花弁は開かないが、もしも開けば、花はブッソウゲに似ているかもしれない。
 枝先から花を上向きにつける。赤色の花で、開花期は11月から3月。
 記:島乃ガジ丸 2006.4.18  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
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