タケヤシ
 私は、今の職場に正社員として働いているが、週休三日制という特殊な雇用形態となっている。よほど忙しい時は出勤することもまれにあるが、概ね金土日は休みである。
 三日間も休みなんて、と羨ましく思うかもしれないが、その分給料が安い。子供を養育できるほどの余裕が無いので子供を作らない。子供ができる状況に陥りたくないので結婚をしない、・・・「嫁のなり手がいないだけ」という周りの意見もあるが。まあ、お金を取るか時間を取るかの天秤で、時間を取ったということ。
 休みといっても、金曜日は金曜日の職場に出勤している。職場といっても無給。インターネットを使わせて貰う代わりに、庭掃除やらをたまにやっている。

 15年ほど前のこと、その職場の2階に喫茶店がオープンした。店主兼オーナーは私の従姉、ということで、オープン前の準備を私も手伝った。内装や設備の製作、設置を手伝った。そこのテーブルと椅子は私のデザインである。
 無給で手伝った上、オープン記念にと観葉植物を数点プレゼントした。パキラ5鉢とタケヤシ1鉢。数年後パキラは、大きくなり過ぎて「邪魔」ということで処分される。
 残ったタケヤシ、鉢を洒落たものにわざわざ移し変えて、他人へのプレゼントとしては私の傑作とも言えるものであったが、それも、それから数年後に消えた。従姉の奴、枯らしちまいやがった。「感謝知らずの女め」と、当時思ったことを記憶している。

 タケヤシ(竹椰子):添景・観葉鉢物
 ヤシ科の常緑低木 メキシコ東部原産 方言名:なし
 葉の出方、形はいかにもヤシ科で、ヤマドリヤシの葉を小型にした感じ。幹は細く、葉の落ちた痕が竹の節のように見える。そのことからタケヤシ(竹椰子)となる。別名をチャメドレアと言うが、これは学名の属名から。観葉鉢物ではこの名もよく見る。
 ヤマドリヤシと同じく株立ち性であるが、ヤマドリヤシの幹が時に斜上しやすい性質があるのに対し、本種の幹は真っ直ぐに伸び、根元から何本も立ち上がる。
 葉をよく見ると、葉脈がはっきりしていて、裏側にやや丸まった形をしている。ヤマドリヤシの葉は概ね真っ直ぐ。もっとも、両者は葉の大きさがぜんぜん違う。
 半日陰、及び高温多湿を好む。観葉鉢物としての需要が多いが、露地植えでも十分生育する。小型の竹を添景として用いるのと同様の景色となる。直射日光に弱いので、大きな樹木の陰になるようなところに植えると良い。耐寒性はある。
 記:島乃ガジ丸 2009.5.11  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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