オキナワシャリンバイ
 久高島の田舎道をオジサン二人とぼとぼ歩く。同行の友人Nは、普段は早足だ。ヨレヨレオジサンはいつも付いて行くのに苦労するのだが、ここは神の島。街中を闊歩するようにというわけにはいかない。Nも、この島ではズカズカと大地を蹴り上げるのを憚ったのか、ほぼ私のペースで歩く。二人して、のんびり景色を眺めながら歩いた。
 たくさんの黒い実をつけていたせいもあって、道端にはシャリンバイの木が目立った。Nに「食えるの?」と訊かれたが、あんまり美味しそうな色でもなかったので、「食えないんじゃないの」と答えた。が、あとで調べると、食えるということが判った。
 一昨年、高松を旅したときに、どこぞの公園でシャリンバイと名札のある木に、紫色の丸い実がいっぱい生っているのを見た。確かシャリンバイは黒い実だったと覚えていた私は、違う種類のシャリンバイなんだろうかと思っていたが、今回、文献を調べ、写真を見て判った。マルバシャリンバイの実は紫、または赤紫で、後に青黒くなるとあり、オキナワシャリンバイは黒褐色とある。見た目はマルバシャリンバイの紫が美味しそうだが、その実を食うという文章は見当たらない。どうも、オキナワシャリンバイの方が、どちらかというと美味しいらしい。食ってみりゃ良かった。

 オキナワシャリンバイ(沖縄車輪梅):生垣・添景
 バラ科の常緑低木 分布は九州南部から琉球列島 方言名:ティカチャー、ティカチ
 車輪梅という名は、梅に似た白い花を枝先に車輪のようにつけるところからきている。九州南部から琉球列島に分布するところからオキナワが付く。
 近縁種のマルバシャリンバイは、東北南部から琉球列島に分布する。マルバシャリンバイは葉が丸っぽく、オキナワシャリンバイの葉はいくらか細長い。本種の葉の縁は粗い鋸葉縁で、ほぼ全縁のマルバシャリンバイと見分けがつく。
 両種とも沖縄に自生していて、海岸端の岩地などに見られる。文献に「別名ホソバシャリンバイ」とあるが、沖縄には、オキナワシャリンバイとは別種のホソバシャリンバイという種類もあるらしい。名前の通り、葉がさらに細長いとある。
 梅に似た白い花は3月から4月に開花。果実は秋に熟し、黒褐色になる。食べられると文献にはあるが、私は試したことは無い。よって、美味かどうかは不明。オキナワシャリンバイの樹皮は、芭蕉布や紬の染料に用いられるとのこと。
 学名、Rhaphiolepis umbellata var. liukiuensis

 花

 実

 マルバシャリンバイ(丸葉車輪梅):生垣・添景 →記事
 バラ科の常緑低木 分布は東北南部から九州 方言名:ティカチ
 樹木の性質はオキナワシャリンバイと同じ。本土での開花は少し遅いかも知れないが、沖縄では3月から4月に開花する。葉も花もオキナワシャリンバイより少し大きい。
 学名、Rhaphiolepis umbellata var. integerrima

 訂正加筆:2011.1.15 ガジ丸
 記:島乃ガジ丸 2004.12.3  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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