サンゴノボタン
 週末の散歩は、家から離れた場所へ車で行って、車を停めてその辺りを散策したりもするが、概ねは、家からそのまま歩いて北へ南へ、東へ西へ行っている。
 写真の日付は2006年の3月となっているので、今(2009年7月)から3年以上も前のこと、家からそのまま歩いて北方面の散歩をしている途中に、民家の庭、道の傍の塀際に、オオムラサキシキブに似た色の、オオムラサキシキブよりは少し大き目の丸い実が、ブドウのように房になって付いている植物を発見した。
 葉の形はオオムラサキシキブとはまるで違う。見た目では、何の仲間か全く見当のつかないものであった。なので、3年経っても何だか判らないままであった。
 3年経った今年、石嶺図書館に『亜熱帯沖縄の花』という沖縄の植物を紹介している本が新入りした。さっそく借りる。ページを捲ると、そこに、ありました。何の仲間か全く見当のつかないものが。それは、サンゴノボタン。
 「何と!ノボタンの仲間であったか。」と驚く。ノボタンとはまったく予想していなかったからだが、しかし、撮った写真をよく見ると、葉はノボタンに似ているのであった。果実にばかり目が行って、葉には関心を持たなかったから気付かなかったのだ。
 それが何者であるかを見極める能力は、観察力が鋭いかどうかによる。私のような大雑把な人間には、何者か判明するのに時間がかかるんだと改めて認識した。
 開花期が6月からと知って、6月を待って早速、花の写真を撮りに家からそのまま歩いて北方面の散歩へ出かけた。サンゴノボタンのある家はしっかり覚えていた。

 サンゴノボタン(珊瑚野牡丹):添景・鉢物
 ノボタン科の常緑低木 フィリピン、ジャワ原産 方言名:なし
 名前の由来についての資料は無かったが、ノボタンはノボタンの仲間だからということでおそらく間違いない。サンゴは、たぶん果実の見た目からだと思われる。
 高さは1mほど。葉は大きく美しく、観葉植物としても価値がある。
 花茎は枝先から出て垂れ下がり、小さな花を多くつける。花は数段に分かれて車輪状につく、花弁は淡紅色で、雄しべは紫色で美しい。開花期は6月から11月。
 花後、紫色の果実が集まって房になり美しい。結実期の資料は無いが、写真は3月。

 実
 記:島乃ガジ丸 2009.7.25  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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