リュウキュウチク |
竹の種類はいろいろあることを知ったが、どれがどれやら判別のつかない私は、あちこちで竹を見つけると、写真を撮り、撮った写真は竹(大)、竹(小)とフォルダに分けて収めている。大きめの竹、小さめの竹という分類ぐらいはできるのだ。 竹(小)のフォルダの中に、これはおそらくリュウキュウチクであろうとほぼ確信しているものがあった。ただ、その方言名がヤンバルダキ(ヤンバルは沖縄島中北部の通称、ダキは竹の沖縄読み)とあって、私が思っていたものとは違っていた。 私の祖父は釣が好きであった。釣るのはもっぱらターイユ(鮒のこと)で、庭の土をほじくってミミズを採り、それを餌に竹竿でウキ釣りをした。私も連れて行ってもらったことが何度もある。その時に使っていた竹竿は細くて、ちょうどリュウキュウチクくらいであったと記憶している。で、リュウキュウチクのことをチンブクダキ(釣竿竹)とウチナーグチ(沖縄口)では言うのであろうと思っていた。 しかし、リュウキュウチクの方言名はチンブクダキでは無くヤンバルダキ、もしかしたら似たような竹が他にあるかもしれない。ということで、写真の竹がリュウキュウチクであるというほぼ確信が、絶対確信にはなれなかった訳。 今年の8月、奥武山公園を散策している時、そこでもまたリュウキュウチクであろうとほぼ確信できる竹を見つけた。そこでやっと、ほぼ確信が確信に代わった。そこのリュウキュウチクには「リュウキュウチク」という名札が掛けられてあった。 なお、文献によると、チンブクダキとはホテイチクのこと。マダケと同属で中型の竹。 稈の高さ5〜10メートル、径3〜5センチで、折れにくい。いかにも釣竿向き。 リュウキュウチク(琉球竹):添景、生垣、工作 イネ科の常緑タケ類 奄美以南、琉球列島の固有種 方言名:ヤンバルダキ 名前の由来は判りやすい。琉球列島の固有種であることからリュウキュウと名がつく。別名をギョウヨウチクというらしいが、これについては不明。 方言名のヤンバルダキはヤンバル(山原、沖縄島中北部の通称)の竹という意味だが、本種は南部でもよく見かける。田舎の竹といったニュアンスかもしれない。 高さ3〜4m、径1センチ程度の小型の竹で、叢生(群がって生える)する。屋敷の周りの生垣として用いられているのを今でもたまに見かける。 庭木として利用される他、竿葉は籠の材料となり、最近はほとんど見かけることはないが、昔は屋根葺きの材料にもなったとのこと。文献に竹の子は食用になるとあったが、野菜としても料理としても私は見たことがなく、食べたこともない。 排水良好で、よく日の当たる場所を好む。学名は、Pleioblastus linearis Nakai 棹 葉 |
記:島乃ガジ丸 2009.10.25 ガジ丸ホーム 沖縄の草木 |
参考文献 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行 |