リュウキュウアセビ
 このHPで500種ほどの草木を既に紹介しているが、しかし、身近な草木だけでも、その数は私の想像をはるかに超えるほど多い。ゴールは遥か遠くにある。
 身近にある草木には、まだ何物か判明していないものが多くある。また、名前はよく聞いているが、その姿を探せずに、紹介できていない草木もいくつかある。

 図鑑でその特徴ある姿を見ていて、実物を見ればすぐにそれと判るであろうという草木もいくつかある。花の付き方、形が独特であるリュウキュウアセビもその一つ。
 リュウキュウアセビは本土にあるアセビの亜種で、基本種と見た目はほとんど同じ。リュウキュウと名が付く位なので沖縄に自生している。沖縄島での自生地は主に北部。酸性土を好むとのことで、そうなっている。私の住む那覇近辺はアルカリ土質なので、なかなかお目にかかる機会がないのである。イジュやアデクなどと同じ。
 同じく酸性土を好むツツジもまた、沖縄島では北部に自生する。しかし、ツツジは中南部でもよく見かける。植栽土壌を赤土にしたり、鹿沼土を混ぜたりして酸性土にしているのだ。その方法でリュウキュウアセビ、イジュ、アデクなども育ちそうなものだが、それらはより一層酸性土を好むということなのかもしれない。詳細は不明。
 ところが、近所の民家でリュウキュウアセビを見つけた。鉢植えである。たぶん、鉢の土全てを酸性土にしているのであろう。よく育っていて、花も多く付けていた。
 それにしても、その大きさからいって、その鉢植えのリュウキュウアセビは、少なくとも数年前からそこにあったと思われる。その家の前を私は数年前からおそらく4、5百回は通っている。なのに、それまでまったく気付かなかった。花が咲いていれば目立ってもいたはずなのだ。どうも、私の目は節穴みたいである。そうとは思っていたが。

 リュウキュウアセビ(琉球馬酔木):添景・鉢物
 ツツジ科の常緑低木 奄美以南の琉球列島に分布 方言名:不詳
 本土に自生するアセビの学名がPieris japonica subsp. japonicaで、本種の学名が
Pieris japonica D. Don ssp. koidzumiana Hatusimaとなっているので、両者は亜種関係となる。アセビは広辞苑にあり、「牛馬が食うと麻痺するというので馬酔木と書く」とあった。本種は奄美以南の琉球列島に分布するので、リュウキュウと付く。
 奄美以南の琉球列島に分布し、琉球列島の固有種である。さらには、別名をオキナワアセビともいう。琉球列島の固有種で、リュウキュウとかオキナワとか名が付いているのに方言名が無い。・・・ことは無いだろうと思うが、参考文献には無かった。
 枝先近くの葉脇から花序を出し、小さな白色の花が多く房状につく。1個の花は鈴状の形をしていて、下向きに咲く。開花期は2月から4月。
 沖縄島では酸性土の北部に自生する。アルカリ土壌の多い中南部では生育が困難。高さは1〜3mで、幹は直立する。樹姿は自然に整い、庭園樹、盆栽に利用される。
 沖縄島での自生地であるタナガーグムイ(国頭村安波にある泉の名前)は、本種を含めた植生が国の天然記念物に指定されているとのこと。

 花

 葉
 記:島乃ガジ丸 2008.7.17  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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