リュウキュウハナイカダ
 2007年はノスタルジーの年となっている。先週(2月18日)、私の青春の音楽である”いとうたかお”ライブに出かけ、楽しい時間を過ごした。その前、1月には高校一年のクラス会があり、古い友人たちと会い、往時を懐かしむ。2月はまた、高校三年のクラス会があり、同様にして往時を懐かしむ。
 クラス会で、オジサンオバサンたちは往時を懐かしむ他、「息子が東京の私立大学に入って、仕送りが大変」だの「娘が結婚した」だの「もう孫ができた」だの、家族の幸せな話もする。そしてまた、「肝臓が」、「胃が」、「腎臓が」、「腰が」、「肩が」など肉体の衰えの話も多い。「白髪が」、「禿が」など見た目の衰えの話も含まれる。
 体の疾患はまだ少数派で、見た目の衰えには個人差があるが、皆が一致して衰えを感じているものがある。脳である。物事が思い出せない。物事をすぐ忘れるなどの衰え。その夜も「ほら、留年して一緒のクラスになった人、名前何だっけ?」との問いに、12人のクラスメートの脳味噌がフル回転して、思い出すのに十数分費やした。そうなのである。脳は衰えるのである。脳廃る爺は私だけでは無かったのである。

 花の写真を撮るために、私はたびたび樹木の多くある場所を散歩する。末吉公園と琉球大学キャンパスが最も多い。もう一年ほど前になるが、植物の開花期を表にしたプリントを作った。樹木の種類は私が見たことの無いものを中心に100種ほど。末吉公園と琉球大学キャンパスを歩く際はそれを手にしながらと予定していた。だが、一年経ってもまだそれを実行していない。散歩はしているが、プリントを忘れるのである。
 先日、従姉の別荘でハナイカダを見たときに、「そうだ、開花期のプリントがあったんだ。」と思い出した。ハナイカダは花のつく場所が独特で、写真に撮りたいと思っていた植物の一つであった。プリントに記載していた。で、プリントを思い出した。
 家に帰ったらプリントを探して、バッグの中に入れておこうと決める。が、それもまた忘れ、今、これを書こうと思った時に思い出した。で、さっき、そのプリントを探した。が、どこにしまったかを思い出せない。さすが、脳廃る爺なのである。

 リュウキュウハナイカダ(琉球花筏):添景・鉢物
 ミズキ科の落葉低木 奄美、徳之島、沖縄などの固有種 方言名:トリフク(奄美)
 花の付き方が特異で、葉の表中央につく。名前の由来はそこからで、広辞苑に「葉の上面の中央に淡緑色の小花をつけ、これを、花を乗せた筏に見立てる」とある。
 山地に自生する。『沖縄植物野外活用図鑑』には「高さ3〜4m」とあるが、『琉球弧野山の花』には「高さ1〜2m」とある。生育する場所によって、そのような違いがあるのだろう。開花期についての記載がどの文献にも無い。文献の写真は2月、私が見たのは1月と2月。葉の表中央に2個、淡い緑色の小さな花をつける。
 本土に自生するハナイカダの亜種となっている。ハナイカダは北海道南部以南に自生、本種は奄美、徳之島、伊平屋、沖縄の固有種。ちなみに両者の学名は、
 ハナイカダ:Helwingia japonica
 リュウキュウハナイカダ:Helwingia japonica subsp.liukiuensis

 花

 ハナイカダ(花筏)
 ミズキ科の落葉低木 北海道南部以南〜九州に分布
 広辞苑に「別名ママコノキ」とある。葉の表に咲いた花が継子の様だということか。
 山地に自生。高さは2〜3m。開花期は晩春から初夏。若葉は食用。
 記:島乃ガジ丸 2007.2.23  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
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