オキナワハイネズ
 沖縄の空の玄関先は那覇空港であるが、海の玄関先は那覇港とはなっていない。よくは覚えていないが、本土復帰(1972年)以前は、那覇港がもっとも大きな港で、そこから本土航路、外国航路などが出ていたと思う。子供の頃、本土へ旅立つ叔父や従姉を見送った。船上の人と見送る桟橋の人とをたくさんの紙テープが繋いでいた。
 本土航路、外国航路はもうずいぶん前から安謝港(那覇新港)に移っているが、宮古八重山航路も今はほとんどが安謝港で、那覇港からは週に2便しかない。25年ほど前に八重山旅行をした際は那覇港から船に乗った。その頃はまだ、乗客も多かったように覚えている。船内もだが、出発した那覇港のロビーも賑やかであった。

 去年の夏、久々に那覇港を訪れた。那覇港を出て、湾内をぐるりと回って帰ってくるサンセットクルージングなるものに参加したのであった。約25年ぶりの那覇港であった。賑やかだった頃を覚えているので、その時の那覇港にはちょっと驚いた。なんか、人口の少ない離島のターミナルのように寂れた感じとなっていたからだ。人はまばらで、ビル内にはキオスクのような小さな売店がぽつんと1軒あるだけだった。
 クルージングの出発時間までには余裕があったので、那覇港ターミナルの外に出て、その辺りを少し散歩した。ビルの正面にちょっとした花壇があった。小さいけれどそこがここのメインの庭のようで、クロキやマッコウの植込みを背中に石組みがされてあった。石の手前には低くこんもりと茂ったオキナワハイネズが寄せ植えされていた。

 オキナワハイネズは職場にもあるが、職場のものはあまり手入れがされてなくて、枝が間延びし、隙間だらけで、こんもりとした感じにはなっていない。だから、私はこの樹木にあまり関心が無かったのであるが、那覇港のオキナワハイネズは見事に茂っており、モコモコした雰囲気で、その存在を主張していた。庭木は、手入れが大事なのである。

 オキナワハイネズ(沖縄這杜松):添景・地被・盆栽
 ヒノキ科の常緑低木 原産分布は伊豆半島南部、南西諸島 方言名:ヒツチヤシ
 ネズ(杜松)は西日本に自生しているヒノキ科の常緑針葉樹。匍匐する性質があるのでハイ(這い)が付いてハイネズ。ハイネズ(這杜松)は日本の海岸に自生するヒノキ科の匍匐性低木。それの沖縄産ということでオキナワハイネズという名。
 沖縄の海岸地帯に自生する。沖縄には少ない針葉樹の一つ。樹高は50センチほどになるが、匍匐するようにして枝を伸ばすのでグランドカバーとしても使える。
 陽光地を好み、耐潮風性も強いので海岸端の植栽、特に海岸の飛砂防止植栽に適している。その他、法面緑化にも向き、盆栽にも利用される。

 葉

 刈込物
 記:島乃ガジ丸 2006.2.2  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
inserted by FC2 system