ニセエランセマムキューエンセ
 ニセエランセマムキューエンセなどと意味の判らない長くて覚えにくい名前を、あんまり長いのでかえって覚えてしまったみたいである。最初のニセが偽という意味であるということを知り、「偽物呼ばわりされて可哀そうな奴だ」と同情したせいで覚えてしまったかもしれない。ちなみに、そのついでかもしれないが、先週のエランセマムトリカラーも私の頭の中のハードディスクに、少なくともその名前だけは記録されている。
 「その名前だけは」と書いたが、今現在で言えば、それは謙遜である。散歩の途中でエランセマムトリカラーを見つけたなら、「これはエランセマムトリカラーだ」と判り、生垣などに向く常緑低木であることも私の頭の中のハードディスクから呼び出せるだろう。一年後、あるいは数ヵ月後もそうできるかどうかは不明だが。
 ニセエランセマムキューエンセはエランセマムトリカラーより先に名前は覚えたが、それがそれであるという特徴は私の頭の中のハードディスクにインプットされていない。先週「エランセマムトリカラーはクロトンに似ている」と書いたが、本種こそ「クロトンの一種だ」と言われたら、「そうか」と納得してしまいそうだ。
 細かいところに目が行きとどかないというのは私の欠点でもあるが、細かいことを気にしないという長所でもある、と私は私をけして否定しない。

 ニセエランセマムキューエンセ:鉢物、生垣
 キツネノマゴ科の常緑低木 原産分布はソロモン諸島 方言名:なし
 名前の由来は学名Pseuderanthemum kewenseから来ているが、前回紹介したエランセマムトリカラーの属名Eranthemumの前にくっついているPseudが「にせの、偽りの、まがいの」(広辞苑)といった意味で、よってニセエランセマムとなっている。何故Pseudを日本語にしたのか不明だし、ニセ(偽)という言葉自体も本種にとっては不名誉だと思う。
 高さは3mほどで、庭の添景やまた生垣として使い勝手が良い。また、表は赤褐色、裏面は濃紫で光沢のある葉が美しいことから観葉の鉢物として利用される。
 花は目立たないのか、どの参考文献にも花についての記述がほとんど無い。ただ、開花期は6月から12月とあった。生育環境としては良く日の当たる湿潤地を好む。

 葉
 記:島乃ガジ丸 2011.8.6  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
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