モクレン
 春、倭国を旅すると、葉の無い枝に空を向いて開く大きな花がよく目立ち、良い香りもするモクレンに出会う。目立って良い香りもするので、花鳥風月にあまり興味の無かった若かりし頃の私も、若かりし頃からその存在を知っていた。
 モクレンの存在を知っていたが、始めてから5年以上も経っているガジ丸HPにモクレンは紹介していなかった。何故なら、沖縄にモクレンは無いと思っていたから。私が時々散策しているあちらこちらの公園、散歩道にある民家の庭でも見たことが無い。
 私が「無いと思っていた」だけで無く、沖縄の植物を紹介している参考文献のどれにもモクレンは載っていない。したがって、「沖縄にモクレンは分布しない」という結論は正しいものと思われる。ただ、「分布しない」イコール「存在しない」とはならない。地植えは無いかもしれないが、民家の庭に鉢物として存在しているかもしれない。
 先日、そんなことを従姉の亭主に話したら、「この近くにシモクレンが庭に地植えされている民家があり、何年も前から季節になると花を咲かせている。」との情報を得た。さっそく、その家を訪ねる。シモクレンがあった。花を咲かせていた。本土で見たものと違うのは、葉を多く付けていたこと。沖縄では落葉しないのかもしれない。

 モクレン(木蓮・木蘭):添景・花木
 モクレン科の落葉低木 中国原産 方言名:不詳
 名前の由来については参考文献になく、正確なところは不明だが、広辞苑に木蓮と漢字があった。これからだいたい想像がつく。「木の蓮」ということであろう、上向きに開く花の形が蓮の花に似ているからであろう。広辞苑にはもう一つ、木蘭という漢字も充てられていた。形では無く香りを喩えたのであろう。モクレンは特にシモクレン(紫木蓮)のことを指すらしい。近縁のハクモクレンは高さ10メートル以上になる高木。
 高さは3m内外。落葉した枝に花が付く。花は大きく上向きに開く。色は暗紅紫色で、芳香がある。開花期は4月から5月。沖縄では3月から咲いていた。

 沖縄産

 沖縄産の花

 ハクモクレン(白木蓮):景観・花木・香木
 モクレン科の落葉高木 中国原産 方言名:不詳
 高さ10m以上。花は白色で大きく、芳香がある。開花期は3月から4月。
 記:島乃ガジ丸 2010.4.25  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
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