ミドリサンゴ
 私が小学校の図工の先生なら、子供達に絵を描かせる時、できれば、
 「絵を描きましょう。」という一言で済ませたい。必要があれば、
 「山を描きましょう、海を描きましょう、人を描きましょう、猫を描きましょう、飛行機を描きましょう、車を描きましょう。」などと言うだろうが、描いてきたものが指示したものでなくてもちっとも構わないし、けして怒ったりしない。
 何かを描くということは、その”何か”が”何か”であることを先生に判ってもらわなければ、と子供は思う。すると、絵は情報伝達手段の意味合いが強くなり、感性の表現にはなりにくい。何が描きたいかは子供の感性に任せたい。少なくとも描くべき何かを指示したとしても、子供の頭に何が浮かぶかは自由にさせてあげたい。情報伝達手段の能力を身に付けさせることも大事だが、それは別の教科でやれば良い。
 ちなみに、木を描きましょうと言って、ミドリサンゴを描くような子供がいたら、私が先生なら、「面白い奴」と、一目置くかもしれない。ミドリサンゴは他の植物とは見間違えることのない特異な姿をしており、一般的な木のイメージとは全く異なる。木を描きましょうと言った時に、子供達に選ばれる可能性はとても低い。

 ミドリサンゴ(緑珊瑚):添景・観葉鉢物
 トウダイグサ科の常緑低木 マダガスカル原産 方言名:不詳
 葉はごく小さく、すぐ落葉し、茎だけが残った姿になる。で、枝ばかりがゴチャゴチャと生えているような独特の形となる。その形をサンゴに見立てて、茎や枝が緑色をしているからミドリサンゴ(緑珊瑚)という名前、別名アオサンゴというが、同じ理由。鉢物ではミルクブッシュ(白い樹液が出る灌木という意)という名前で多く見る。
 高さは1〜5m、『緑化樹木のしおり』に高さ5mとあったが、それほど大きいのを見たことがない。原産地ではそうなるのかもしれない。『沖縄の都市緑化植物図鑑』に「繁殖すると自身を支えきれなくなって、枝や幹の途中から折れることがあり、・・・強剪定を行い・・・」とある。沖縄に植栽されているものは、そういうことで大きくないのかもしれない。鉢物をよく見かけるが、それもせいぜい1m程度の高さ。
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』では低木と分類されているが、見た目は多肉植物で草本性に見える。ネットで確認すると、常緑多年草としているサイトが多かった。
 耐陰性があるので観葉植物として用いられている。沖縄では露地植えも可能で、民家の庭にあるのを時々見る。多肉植物らしく乾燥に強い。幹枝から出る白い樹液は有毒。
 記:島乃ガジ丸 2009.4.29  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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