クサトベラ
 HPの記事について、これまでいろんな方から間違いを指摘されている。図鑑の説明文を読むさいに、私がいかにテーゲー(大雑把)であるかを認識させられている。
 指摘された事項についてはその都度、再調査して訂正している。その時の調査は、調査という言葉を使っても何とか許される程度には努力しているつもり。
 そんなこんなあって、大雑把な私もこの頃は、図鑑の説明文をじっくりと読む癖が少し付いたみたいである。で、他人の指摘でなく、自身で気付いたこともいくつかある。
 一ヶ月ほど前にアリアケカズラの頁を訂正加筆した。オオバナアリアケカズラに2種あるということを知ったからだ。で、今回はクサトベラ。

 私はそれまで、クサトベラとテリハクサトベラは同一のもので、互いに別名関係にあるものとばかり思っていた。が、図鑑の説明文をよく読むと、
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』に「本種は葉の表裏面に繊毛がないことでクサトベラと区別される」とあり、『沖縄園芸百科』に「テリハクサトベラもあります・・・葉の表に毛がなく、つるつる光っているのが違う」とあった。
 で、調べに行く。友人Tのやっている吉の浦ガーデンへ行ったついで、その近くの吉の浦海岸へ。そこにはたくさんのクサトベラ、あるいはテリハクサトベラがあることは前から知っている。あんだけの量があれば、きっと2種類揃っているはずだ。
 で、結果、2種類揃っていた。両者共に葉の大きさに変わりに無く、葉の照り具合もほとんど変わらないので見た目では判別できなかったが、触ってみれば一目瞭然、いや、一触瞭然とでも言うのか、はっきり区別できる。

 写真右がクサトベラ、左はテリハクサトベラ。
 クサトベラ(草扉):生垣・海浜植栽
 クサトベラ科の常緑低木 南西諸島、台湾、他に分布 方言名:スーキ、ハマスーキ
 草扉という字は広辞苑にあった。木本であるが、トベラに比べると草のようにみえることからクサ(草)がついたと思われる。トベラは海桐花と書き、トベラ科の常緑低木。本種はクサトベラ科。トベラとは葉の形が似ている。
 分布は他に中国、インド、オーストラリア、熱帯,亜熱帯地域。日本では小笠原にも分布する。海岸の岩場や砂浜に自生している。
 高さは1〜2mほど。葉は草質で大きく、照りのある鮮緑色をしていて明るい。花は白色で葉腋につき、群生する。開花期は7月から9月。果実も白色に熟し、よく目立つ。
 自生地が海岸であることから耐潮風がごく強い。防潮、防風、防砂の低木として用いられ、海浜公園などで多く見かける。陽光、排水良好な環境を好む。根元から多数分枝し、株立ち性となる。強剪定に耐えるので、生垣に向く。
 テリハクサトベラとは葉に繊毛があるかないかで区別できる。クサトベラには繊毛がある。繊毛があってもテカッているので見た目では判り辛いが、触ればはっきり判る。

 クサトベラとテリハクサトベラの葉裏
 右がクサトベラの葉、何となく鈍い光。左はテリハクサトベラ、右に比べるとテカッている。触るとはっきり区別できる。
 ちなみに学名、
 クサトベラ Scaevola taccada Roxb.
 テリハクサトベラ Scaevola frutescens Kurt Krause
 記:島乃ガジ丸 2008.11.17  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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