クロトン
 別項でも書いたが、沖縄の人口増加率は日本一。出生率が日本一らしいのである。だからといって、ウチナーンチュが日本一スケベだというわけでは無い。恋をして、結婚して、子供ができるという、ごく普通の、自然の摂理に則った生活をしているだけである。日本一貧乏な県なのに日本一子沢山。「貧乏子沢山」という摂理にも則っている。
 人口増は出生率の多さだけでなく、他府県からの移入者数の増加にもよる。日本一貧乏な県に何しにくるんだ、と思う。夏は暑いし、四季の変化があまり無くて、風景に情緒が無いし、美味しい食い物はたくさんあるが、とーっても美味しい食い物は少ないし、車の運転は大雑把だし、約束の時間は守らないし、基地の騒音は煩いし。高い服を着、高い物を食い、高い家に住んでいるのが当たり前の倭人には住み辛かろうと思うのだが。
 日本一貧乏とは言え、世界的に見ると金持ちの部類に入る沖縄なので、遊ぶ金もそれなりに持つようになった。人口が増えた分以上の人々が旅行に出かける。また、経済活動もずいぶん活発になっているので、仕事で出張する人も相当数になる。沖縄への入域観光者数は年々増えている。それらたくさんの人々のほとんどが飛行機を利用する。よって、沖縄の玄関口、那覇空港はこの20年間で2度も拡張し、空港ビルも2度新しくなった。

 20年前の空港の、正面玄関を出たところに長い花壇があって、そこには蒲鉾型に刈り込まれた低木が植えられてあった。その低木、花が咲いているわけではないのに、真夏だから紅葉しているわけでもないのに、右側が赤、左側がきれいな黄色をしていた。葉っぱがそのような色をしているのであった。不思議な植物もあるもんだと思って、人に訊く。
 それは有名な植物であった。その頃若かった私でも馴染みのある植物。家の庭にもあった植物。クロトン。が、クロトンがこんなきれいな赤や黄色になるとは知らなかった。いろいろな品種があるらしくて、色を鮮やかに出してくれる品種が那覇空港に使われていたようなのだ。ただ、クロトンは潮風に弱いらしく、海の傍の空港では、数年後には消えていた。

 クロトン:生垣・添景
 トウダイグサ科の常緑低木。原産分布は熱帯、亜熱帯各地。方言名:クロトン
 葉の色や形が多種多様で別名ヘンヨウボク(変葉木)ともいう。クロトンはラテン語。英語名もCrotonとなっている。発音しやすいせいか、方言名もクロトン。
 変異しやすいのでたくさんの園芸品種が作られている。丸い葉、細い葉、ちりちりの葉、くるくるの葉、赤い葉、黄色い葉、水玉の葉、などなどなど。品種名にアカマキ、キマキ、オウゴンチラシなどの名前もついていて、クロトン愛好家で無い限り、品種の判別は難しい。私は今あげた3種ていどしか知らない。
 品種によって違いはあるが、高さ3mほどになる。成長が速く、よく分枝するので生垣や刈込みものに向く。陽光地を好むが、潮風に弱いので、海岸端の植栽には向かない。花は白い可愛らしげなものが咲くが、観賞価値は専ら葉の方にある。開花期は2〜10月。

 花

 クロトン3種
 記:島乃ガジ丸 2005.8.3  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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