クラリンドウ
 クラリンドウについて、下記の説明文に名前の由来は不詳と書いた。鞍竜胆なのか、蔵竜胆なのか、あるいはリンドウ(竜胆)とはまったく関係ないのか。
 たとえば、クラリンドウを初めて植えた場所は、その傍にお堂があった。クラリンドウの花が盛りの頃に、その美しさに見とれて人々はめまいがするほどであった。めまいがして、クラリとする。そこからいつしか、そのお堂はくらりん堂という名前となり、花も同じ名前となった。なんていう話はいかがであろうか。ただの駄洒落だが。

 ウチナーグチ(沖縄口)にはリンドウとつく言葉がたくさんある。リンドウのリンは、何々されるの“れる”に当り、可能や受け身の意味を持つ。「寝られる」は「にらリン」、「食べられる」は「噛(か)まリン」、「刺される」は「ささリン」、「殺される」は「くるさリン」などとなる。ドウは何々できるヨとか何々されるゾのヨやゾと同じような強調の助詞であり、たとえば、「ここのベンチはゆっくり寝(に)らリンドウ」「お前、女房に浮気がばれたら殺(くる)さリンドウ。」などと使われる。動詞のあとに付いて「何々できるよ」とか「何々されるぞ」となるので、ウチナーグチに「リンドウ」とつく言葉はいくらでもあることになる。「名前の由来にテキトーなこと書いて、駄洒落ばっかり言っているようでは、世間から笑わリンドウ。」など。
 なお、ドウは、実際にはドーと発音されることが多い。口を動かすのにも、ウチナーンチュはできるだけ楽をしようとするせいである。

 クラリンドウ(くらりんどう):添景・鉢物
 クマツヅラ科の常緑低木 インド原産 方言名:不詳
 名前の由来が解らなかった。花のつきかたがリンドウに似ていて、花の形が鞍に似ていることから鞍竜胆なのか、あるいは、花が鈴生りとなり、蔵が必要なほどに実もたくさんつくところから蔵竜胆なのかと思ったら、リンドウはリンドウ科で血縁が遠い。クラリンドウとは花のつきかたも形も違っていた。それに、リンドウは草であった。
 顎は暗赤褐色で、花は白色。小さい花がサガリバナのような房状になって下垂する。一つ一つの花も、花の集まった房もサガリバナよりはずっと小さいが、枝先からたくさん垂れ下がるので見応えがある。しかしながら、花の時期は1ヶ月ほどと短い。
 本土では鉢物として出回っているようだが、沖縄では露地植えで生育する。自然樹形も整っており、庭の添景として使い良い。開花期は10月頃とあったが、職場のものは11月に入ってから咲き出した。暑さが続いたせいかもしれない。写真は11月14日。

 花

 ちなみに、
 リンドウ(竜胆)
 リンドウ科の多年生草本。日本各地の山野に自生している。葉はササの葉に似て、花は釣鐘型で紫色。高さは30センチから60センチほどになる。根は生薬となる。
 記:島乃ガジ丸 2005.11.14  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
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