イボタクサギ
 今年の夏、7月から8月中旬まではとても暑かった。クーラーを使っていない私の体は気温に対し素直に反応する。その体が暑かったと感じているので、それは確かなことだ、と思われるが、念のため、沖縄気象台の資料を調べる。7月の平均気温は平年値より約1度、8月の平均気温は平年値より約0.8度、今年は高かった。

 とても暑かった7月から8月中旬に、2度、中城村の吉の浦海岸を散歩した。2度とも午後3時から5時くらいの間、強烈な陽射しが残っている時間帯。禿げかかっている頭頂部を灼熱の太陽が容赦無く襲う。コンクリートの園路の照り返しもきつい。白い砂浜も眩しい。10分ほどでTシャツが濡れる。でも、歩き続ける。私はマゾみたいである。 
 そんな暑い中、砂浜にはトベラの花が満開で、多くのハチ、アブ、ハエ類が飛び回っていた。ユーナの花も多く咲いていた。そして、見知らぬ白い花に気付いた。その形には見覚えがある。ショウロウクサギに似ている。が、全体の姿はそれとは違う。調べる。海岸にあり、クサギに似た白い花で、夏に咲いている。何者かすぐに判明した。

 イボタクサギ(水蝋臭木):添景・防潮・防砂
 クマツヅラ科の常緑低木 九州南部以南、南西諸島、他に分布 方言名:マンカホーギ
 同属のクサギと同様に葉の匂いが臭いことから臭木、イボタはイボタノキというモクセイ科の落葉低木があって、それと何らかの関係があると思われるが、イボタノキは沖縄に無いようで、私も見たことが無くて、その関係については不明。
 「枝の長さは2〜4mくらいになる」と文献にあるが、半ツル性で、枝は上に伸びず、横に広がるのでそう高くはならない。私が見たものは2m弱であった。
 葉脇から花序を出し、1〜3個の花をつける。15ミリほどの可愛らしい白い花。開花期は4月から8月。種子はコルク質で、波に乗って旅をする。
 海岸地帯に自生し、耐潮風性が強く、防潮、防砂林として利用される。
 ちなみに、クサギは、その変種が沖縄に自生する。ショウロウクサギとアマクサギ、同属には他にヒギリやゲンペイクサギなどもある。それらは既に紹介済み。
 クサギ Clerodendrum trichotomum
 ショウロウクサギ Clerodendrum trichotomum var. esculentum
 アマクサギ Clerodendrum trichotomum var. yakusimensis
 ヒギリ Clerodendrum japonicum
 ゲンペイクサギ Clerodendrum thomsoniae
 イボタクサギ Clerodendrum inerme (L.) Gaertn

 花

 実
 記:島乃ガジ丸 2008.9.8  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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