フウリンブッソウゲ
 金曜日の職場は宜野湾市にある。首里からそこへ向かう途中、西原町の、両サイドに樹木の生い茂った道を通る。5月からそこではセミの声が聞こえていた。ジーーーと鳴く。おそらく、4月上旬から出現するというクロイワニイニイだ。
 私の住むアパートの周りでは、6月13日の朝に梅雨明けを告げるリュウキュウアブラゼミの声がちょっとだけ聞こえた。リュウキュウアブラゼミは6月下旬からの出現となっている。あわてんぼうな奴がいるな、とその時は思った。
 ところが、セミの声は翌日もあり、15日には数匹の声が聞こえた。梅雨明けにはまだ早い。沖縄の梅雨明けは、平年だと6月23日となっている。10日も早い。
 リュウキュウアブラゼミが鳴いた日、13日の週間天気予報では、一週間ずっと雨模様であった。が、週末、雲ってはいたが、降らなかったし、月曜日の予報では、一週間、ほぼ晴れとなっていた。これはきっと、セミの感性が正しい。沖縄は梅雨明けだ。
 というわけで、月曜日の夕方、風鈴をベランダに出した。セミも夏の音なら、江戸風鈴のカランカランも夏の音。「よーし、耐えてやるぞ!夏に。」と決意する。
 翌日、沖縄気象台は沖縄地方の梅雨明けを発表した。

 フウリンブッソウゲは、花の形が風鈴のように見えるからその名となっている。ブッソウゲとあるようにハイビスカスの仲間。文献に「開花期は6月から10月」とあるので、夏と共に咲く花である。今頃紹介するのにふさわしい。だが、職場のフウリンブッソウゲは、今は一輪も咲いていない。4月に多く咲かせていた。どうも、職場の奴は、相当あわてんぼうみたいである。あるいは、他人が何と言おうと俺は我が道を行く。咲きたい時に咲くのだ。ということかもしれない。血液型がB型なのかもしれない。

 フウリンブッソウゲ(風鈴仏桑華):生垣・添景
 アオイ科の常緑低木 原産分布は南アフリカ 方言名:チョーチンバナ
 ブッソウゲと同じハイビスカス属で、全体の形、葉の形状などはよく似ている。葉腋から垂れ下がった花が風鈴のように見えるのでフウリンブッソウゲという名前。
 葉腋から出る花柄は5〜8センチと長く、下垂し、その先に花をつける。花は、花弁が反り返って丸まった形になり、垂れ下がった長い雄しべと共に風鈴の形となる。多種の園芸品種があるそうだが、基本種は紅色で、開花期は6月から10月。
 高さは1〜3m。強剪定に耐え、萌芽力も強いので生垣に向く。成長が速いので高めの生垣にしても良い。また、耐潮風性もあるので防風林にも利用される。
 陽光地を好むが、半日陰でも生育する。土壌を選ばない丈夫な植物。

 花
 記:島乃ガジ丸 2008.6.16  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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