ヒメザクロ
 天候不順、あるいは病害虫によって畑の作物が収穫できなかった場合の事を考え、300坪のなっぴばる、その内の100坪ほどは果樹園にし、年中何らかの果樹が収穫できるようにしたいと思っている。300坪全部を野菜畑にし、それを耕すのはえらい難儀だ、管理が簡単な果樹園にしようという怠け心ももちろんある。
 さて、年中何らかの果樹が収穫できるために何々を植えるかについて、ある程度の計画は既に出来ている。春はアセローラ、ビワなど、夏はマンゴー、モモ、レイシなど、秋はシークァーサー、バンジロウ、ゴレンシなど、冬はアボカド、カニステル、ザクロなど、その他バナナやパパイアなどは概ね周年収穫できる。

 この時期(1月)収穫できる果樹の内、アボカドは今、種を播いて育苗中、カニステルは実家にあり、その枝を数本挿木(できるかどうか不明)している。ザクロは無い。いくつかの親戚の庭にも無く、挿木もできない。食べてその種を播こうにも、ザクロはスーパーにも八百屋にも売られていない。果物としては人気が無いのかもしれない。
 そのザクロが行きつけの散髪屋の庭にあった。鉢植えであったが、挿木のための枝は貰えるかもしれない、あるいは、実が着いていて、その実を貰って種が採れるかもしれないなどと思ったが、残念ながらそのザクロはヒメザクロという種であった。

 ヒメザクロ(姫石榴):添景・鉢物
 ザクロ科の常緑低木 園芸品種 方言名:ザクル
 名前の由来についての資料は無いが、ヒメ(姫)は「(接頭語的に)小さくて愛らしい意を表す語」(広辞苑)であり、本種はザクロの園芸品種で小型なのでヒメがつく。ザクロについては『沖縄植物野外活用図鑑』に「和名は、漢名の石榴の音に基づくものとされている」とあった。方言名のザクルはザクロの沖縄読み。
 ザクロの矮性種で全体的にザクロより小さいが、花もまたザクロより少し小さめ。花色は赤、開花期、文献の写真は6月、私の写真は4月、ということで春〜初夏としておく。葉の形はザクロとほぼ変わらない。葉の付け根に鋭い刺がある。
 果実が食用になるかどうかの記載が文献に無い。無いということはたぶん、食用にはならないのであろう。観賞用の鉢物でしか私も見たことが無い。
 ちなみに、ザクロ(おそらく本種も)は、倭国では落葉樹だが、沖縄では常緑樹。

 花
 記:島乃ガジ丸 2013.1.13  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
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