ヒギリ
 5月の中頃、首里城近辺を散歩した。首里城やその周辺の史跡名勝などを紹介しようと思ってのこと。円覚寺、弁財天堂、龍潭、玉陵、守礼の門などの写真を撮り、少し足を伸ばして、これは史跡名勝では無いが、首里劇場の写真も撮る。首里劇場は首里高校男子生徒の性教育に多大な貢献を果たした映画館。今も健在である。
 その首里劇場を含め、首里城近辺の記事はまだ一つも書いていない。植物動物を優先しており、旅に出たし、旅日記を書くのに時間かかったし、最近はお絵描きにも相当の時間を取られているし、おまけに暑いし・・・等の理由による。
 その日、龍譚を歩いていると、面白い花に出会った。実物は(見たことあるかもしれないが、覚えていない)初めて見るが、文献の写真が記憶にあったので、それがヒギリであることは推測できた。帰ってから確かめると、間違いなかった。

 ヒギリ(緋桐):添景
 クマツヅラ科の落葉低木 中国、インド原産 方言名:チリントー、キリントゥ
 キリとつくが、桐の仲間では無い。タンスの材として有名な桐はゴマノハグサ科の落葉高木。葉が大きくハート形をしていて、その形が桐の葉に似ているところからキリとつき、花が緋色をしているのでヒギリ(緋桐)なのであろう。別名トウギリ(唐桐)。
 「花が緋色をしている」と書いたが、花の色について、文献には紅色とか赤色と書いてある。私は緋色、紅色、赤色の違いがあまりよく判らない。広辞苑によると、緋色は「赤く鮮やかな鳶色」で、鳶色は「茶褐色」で、紅色は「鮮明な赤い色」で、赤色は「赤い色。また、緋色・紅色・朱色・茶色などの総称」とあった。ヒギリの花の色、私の見た感じでは「鮮明な赤い色」が適当だと思う。枝の先端から花茎を出し、その先に赤色の小花を多数つけ、長さ30センチほどの円錐花序となる。開花期は6月から9月。
 高さは2〜3m。陽光地を好み、成長は速い。葉はハート型をして大きく、長さ30センチほどになる。琉球王朝時代から観賞用として栽培されたとのこと。
 同属にシマヒギリがある。全体的に似ているが、シマヒギリは葉の幅が広く3〜5に裂開している。シマヒギリについての詳しいことは別項とする。

 花序

 花
 記:島乃ガジ丸 2006.7.12  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
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