ハネセンナ&フタホセンナ
 センナと名のつく植物は、沖縄の緑化植物として何種類か紹介されている。『沖縄の都市緑化植物図鑑』にはモクセンナ、コバノセンナ、ハナセンナ、ハネセンナ、フタホセンナの5種類ある。これらのうち、コバノセンナ、ハナセンナ、ハネセンナ、フタホセンナの4種は高さがせいぜい3mに留まる低木で、全体の見た目も似ている。
 さらに、コバノセンナとハナセンナ、そして、ハネセンナとフタホセンナはそれぞれ互いによく似ている。コバノセンナとハナセンナは葉先が尖っているか丸っこいかで判別でき、ハネセンナとフタホセンナは、全体の雰囲気も花の付き方もよく似ているが、花の見た目で違いが判る。フタホセンナの花穂は先端が黒くなっている。
 私はしかし、フタホセンナの実物を見たことが無い。コバノセンナとハナセンナは近場の公園などでもよく見かけるが、ハネセンナとフタホセンナはなかなか見ない。ハネセンナは数年前に旅した八重山で見つけた。それもそれっきり見ていない。
 ガジ丸HPでコバノセンナとハナセンナを紹介した際、合わせてハネセンナとフタホセンナも紹介しているが、フタホセンナについては、お目にかかっていないので写真無しのままで紹介した。2005年4月のことだからもう6年近く前の話だ。
 以来、頭の片隅に「フタホセンナの写真を撮らなくちゃあ」という意識は持ち続けていたが、あちこち散歩をしているにも関わらず、いまだにお目にかかっていない。

 ハネセンナ(羽旃那):添景・生垣
 マメ科の落葉低木。原産分布は南アメリカ。方言名:無し
 名前の由来、参考文献に記載は無いが、センナについてはコバノセンナと同じく「中近東原産の薬用植物。高さ約1メートル。・・・秋、5弁の黄色花をつける。果実・葉の浸剤しんざいを健胃剤・下剤とする。」(広辞苑)であるが、ハネは不明。花の形、あるいは花穂の形が羽のように見えるのかもしれない。私には見えないが。
 旃那という字も広辞苑にあった。これはおそらく漢名だと思われる。 
 花色は他のセンナ同様鮮やかな黄色だが、形はコバノセンナ、ハナセンナと違って穂状となり、枝の先端に直立して上向きにつく。開花期は7月から10月。陽光地を好み、耐潮風性は弱い。高さ1〜4mと文献にあるが、環境によるのだろう。
 学名はCassia alata L.

 花

 ちなみに、
 フタホセンナ(二穂旃那):添景・生垣
 マメ科の落葉低木。原産分布は熱帯アフリカ。方言名:無し
 名前の由来、これも資料が無く正確には分からない。センナについてはハネセンナと同様で、ハネセンナも花穂は黄一色だが、本種の花穂は下部は黄色だが、先端が黒色になっていて、黄色と黒色の2つの穂という意味でフタホ(二穂)だと思われる。 
 花はハネセンナと似ているが、花穂の先端が黒くなっている。開花期は10月から11月。 陽光地を好み、日陰では花付きが悪くなる。過湿を嫌う。高さは3m前後。
 学名Cassia didymobotrya Fresen.

 他のセンナの学名と開花期は以下。

 コバノセンナ(小葉の旃那)Cassia coluteoides Colladon
              開花期は10月から12月。
 ハナセンナ(花旃那)Cassia corymbosa Lam. 開花期は10月から11月。
 モクセンナ(木旃那)Cassia surattensis Burm. F.
           開花期は5月から6月、及び10月から11月。
 記:島乃ガジ丸 2011.2.1  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
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